2017年の東京都議選の街頭演説の際には、「辞めろ」と叫ぶ一部聴衆に対し、「こんな人たちに負けるわけにはいかない!」とやり返した。
「反安倍」も含めて首相が代表する「国民」であるはずだ。野党からは「品位に欠ける。器量が小さい」と批判も出たが、どこ吹く風だ。

2019年になってからは民主党政権を「悪夢」と繰り返し罵っている。
また、高市早苗総務相が2016年に放送局への電波停止の可能性に言及したことについて質問した立憲民主党の杉尾秀哉に対しては、突然「共産党!」と叫んだ

このやじは、右派ポピュリズムを魅了する強力な武器となっている。
安倍を支持している右派ポピュリズムは
国家権力や権威との一体化に快感を抱き、人々を統制しようとする強さに憧れる。
だからこそ、野党への敵意を剥き出しにしてやじり返し、「安倍辞めろ!」と叫ぶ国民にも口角泡を飛ばす「強い安倍」を見ていると爽快な気分になり、快感に浸るのだ。

テレビに映し出される「やじ将軍」を見て興奮し、SNSで「左派」や「中国、韓国」にゲスな言葉を浴びせ、鬱積した不満を発散させるのだ。

安倍のやじに自己投影して不満や嫉妬の発露を見いだす。安倍のやじは、戦後の保守本流の裏側で、鬱々としてきた不満や劣等感を一気に吹っ飛ばしてくれるのだ。

 「一国の総理が俺たちの気持ちを代弁して喧嘩してくれている」という思いと、安倍のやじが粗野なものであればあるほど、「なんだ、一国の総理も俺たちと同じレベルで口喧嘩している」という思いが交錯する

右派ポピュリズムは「戦後レジーム」「憲法改正」などと叫ぶ姿に、ナショナルアイデンティティーの回復を期待し、ストレスを発散させているのだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/d26392cf48e34751407fd2f385c86d98abdd7bbf