■米国発

 2010年、国内におけるレコードの生産枚数は約10万枚だった。それが15年には60万枚を超え、19年は約120万枚になった。一方のCDは右肩下がりに歯止めがかからない。もっとも、その生産枚数はいまだ約1億3000万枚(19年)もあり、ケタは二つも違う。米国では、昨年上半期のレコードの売り上げが1980年代以降で初めてCDを上回ったと話題になったが、事情はだいぶ異なる。

 とはいえ、レコード再評価の流れは米国発のもの。2008年に始まったレコード店支援の祭典「レコードストア・デイ」(4月第3土曜日)が一つの契機になっている。日本は12年に本格的に参加。このイベントに合わせて発売されるレコードは昨年は100作品まで増加し、さらに15年から始まった日本独自の祭典「レコードの日」(11月3日)にも110作品が出た。

 こうしたキャンペーンに呼応するように、都心で初心者に優しいレコード店が増えたことは大きい。起爆剤になったのが14年にオープンした「HMVレコードショップ渋谷」で、1万円程度のレコードプレーヤーも取りそろえ、レコード生活を始めやすい環境を整えた。業界最大手の「タワーレコード」も、初のレコード専門店を19年3月に、新宿店10階のワンフロアを使った広いスペースで開いた。青木太一店長は「狭くて暗いレコード店のイメージを変え、若い人も気軽に立ち寄れるよう明るく探しやすい空間にした」と話す。

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