甲土地・甲土地上の乙建物・甲土地に隣接する丙土地はいずれもAの所有であり、その旨の登記がなされていた。
 令和元年11月30日、BはAに対して弁済期を令和3年11月30日として1,500万円を貸し付けた(以下、この貸付金債権を「本件債権」という)。そして、本件債権を担保するため、Aは乙建物に抵当権を設定し、令和元年12月15日に、その旨の登記が経由された。また、令和2年2月6日には、本件債権を担保するために、Aは丙土地に抵当権を設定し、同月13日に、その旨の登記が経由された。
 令和2年4月5日、AはCとの間で、乙建物ならびに丙土地の賃貸借契約を締結し、同日登記も経由された。賃料は、乙建物については月額3万円、丙土地については用途を駐車場に限定した上で、月額2万円とし、毎月末に翌月分を支払うものとされた。なお、近隣の賃料相場によれば乙建物の賃料は6万円、丙土地のそれは2万円が適正賃料であったが、AとCが長年の友人であることから、乙建物については特別に賃料を安く設定したものであった。
 Aが弁済期に債務を弁済しなかったため、乙建物・丙土地の抵当権が実行されることとなった。競売の結果、令和4年5月30日には、Dが乙建物・丙土地の双方を競落した。
 Dは令和4年5月31日、Cの賃借権はDに対抗できないとして、Cに対して、乙建物については近隣の賃料と同価格の6万円の支払を、丙土地については即時引渡しを求めた。これに対してCは、しばらくは従前どおりの賃料額で乙に居住できるはずであるし、丙土地は乙建物への居住に付随する目的で用いているとして、従前通りの賃料額である合計5万円をDに支払った。同年6月30日にもCは前月同様に5万円のみを支払った。
 そこで、令和4年7月2日、DはCに対して乙建物の即時明渡しと丙土地の即時引渡しを求めた。これらの請求は認められるか。それぞれについて、請求根拠を明らかにしながら答えなさい。