甲土地はAの所有であり、その旨の登記がなされていた。
平成24年10月5日、AはBとの間で、建物の建築を目的として甲土地の賃貸借契約を締結したが、登記は経由されなかった。賃料は、月額10万円とし、毎月末に翌月分を支払うものとされた。なお、近隣の賃料相場によれば適正賃料は月額12万円であったが、AとBが長年の友人であることから、特別に賃料を安く設定したものであった。
Bは甲土地上に乙建物を建築し、平成25年4月7日にはB名義の登記が経由された。
平成26年3月16日、AはCに対する1,500万円の負債の担保のため甲土地に抵当権を設定し、同日、その旨の登記が経由された。
Aが弁済期に債務を弁済しなかったため、甲土地の抵当権が実行され、競売の結果、平成27年6月1日には、Dが甲土地を競落して登記を経由した。
 同年6月12日にBが死亡した。Bの相続人は子であるEのみであり、同月29日には乙建物の登記名義はEに移転された。平成25年11月以降、乙建物にはBと内縁の妻であるFが居住していたが、Bの死亡後はFが1人で居住している。なお、Fが乙建物に居住していることについて、これまでEが異議を述べたことはなかった。また、EとFの間には血縁関係はない。
 平成28年2月28日になって、Dは、Fに対して乙建物からの退去を求めてきた。
また、これと併せて、Bの死亡後は甲土地の賃料が支払われていなかったため、Dは競落時から自己が賃貸人であったとして、Eに対して、平成27年7月分から平成28年2月分までの賃料相当額として月額12万円の支払いを求めてきた。
Dによるこれらの請求は認められるか。