平和に発声改善がしたいんじゃ5
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●このスレは、平和に発声に関する情報交換をしたい方のためのスレです。
書き込みの際には、レスの向こうに同じ趣味を持つ人間がいる事を心に留めて頂けると幸いです。
●本スレではNGワードの設定推奨です。
以下のNGワードを用いている、攻撃的な文面の書き込みを行っている、荒らし目的であると考えられる
以上に該当する方には反応せず、スルーをして下さい。反応はせず、スルーをお願いします。
【NGワード】※複数の表記での登録推奨
馬鹿、死ね、統失、糞、下手くそ、音痴、きもい、天然、自演、クズ、カス、ゴミ、アホ、ガキ、雑魚
●音源うp推奨です。必ずしも上げる必要はありませんが、持論の補強や建設的な議論に繋がります。
但し、他人への過度な音源の要求は無意味なスレの消費に繋がるため、お止めください。
●発声理論・感覚論など、音源の有無に関わらず自由に話して頂いて結構です。
議論も歓迎ですが、平行線になりそうな場合には、自分の意見を言うに留めるorスルーをしましょう。
出来るだけ多くの方が、様々な意見を自由に言える場となれば嬉しいです。
前スレ
平和に発声改善がしたいんじゃ3
https://lavender.5ch.net/test/read.cgi/karaok/1510322911/
※前スレ
http://lavender.2ch.net/test/read.cgi/karaok/1512407650/ 頭上の赤い逆三角形のマーカーは点滅していない。
攻撃目標がこっちではないからだ。
この鷹はどうやら後衛の魔法使いを狙っているようだった。
いや違うな。
正確には魔法使いが持っている何かを狙っているように見える。
纏わり付くようにしつこく迫っていた。
そのパーティは五人いるようだが、攻撃を繰り出してはいるものの、その攻撃はまるで当たっていない。
魔法使いに攻撃が当たるのを躊躇しているためだろう。
魔法使いの頭を突いていた鳥は何かをその両足に掴んで飛び上がった。
肉塊だ。
【識別】なのか【鑑定】なのか分からないが、視線を合わせると野兎の肉であることが小さな別窓で表示される。
態勢を立て直した魔法使いが魔法を放つが、当たらずに終わった。
「あーーーー!!お肉返せえええええええ!!」
弓を持った女性が叫んでいた。
まあその気持ちは分かる。
ドロップしたホーンラビットの肉を横取りされたって事なのだろう。
そういう事もあるのね。オレも注意せねば。 おや?
戦闘に参加していないのにスキルがレベルアップしてしまった。
こういうのもアリなのか。
それから更に西へ、道沿いにずっと進む。
まだ目印になる物見櫓が見えない。
さすがに他のパーティを見かける事も少なくなった。
魔物に遭遇してもよさそうなのに・・・魔物ウェルカムな時に限って遭遇しない。
だがいずれは出会う。
道の外れで佇んでいたホーンラビットを見つけた。
頭上の赤い逆三角形のマーカーが点滅し、こっちに迫る。
【識別】で見てみると確かにホーンラビットだが。
ホーンドラビット Lv.1
魔物 討伐対象 アクティブ状態
あれ?
さっきよりも表示内容が増えているようだが。
識別がレベルアップした影響なのだろう。
「よし、行くぞヴォルフ」
ちょっとだけ強くなった手ごたえはあるだろうか?
戦闘は長引いていた。
おかしい。
このウサギってば随分とタフだな。
ヴォルフがいる分、有利に戦えている筈なのになかなか倒れてくれない。
魔物のHPバーは半分をようやく切った所のようだ。 オレは一つ間違えていたようだ。
このウサギ、角が真っ直ぐではなく、微妙に反ってきているように見える。
実は別の魔物か?
改めて【識別】で見てみる。
ホーンドラビット Lv.1
魔物 討伐対象 アクティブ・激昂状態
えっと。
ホーン『ド』ラビット?
運営め、紛らわしい名前の魔物を用意するなんてバカじゃないの?(褒め言葉)
こういう遊びもあっていいと思う。個人的には好きだ。
でも今は別の事に注意を向けるべきだ。
激昂状態って何だ?
このウサギは最初、ホーンラビットと変わらない姿形だったのは間違いない。
それが変容している。
の刹那。
目の前に何かが迫っていた、と見えたが次の瞬間には消えていた。
二つの獣の荒ぶる咆哮が響いている。
ウサギがこっちに飛び掛ると同時にヴォルフが横合いからウサギに攻撃を仕掛けたのだ、と分かった。
危なかった。
ヴォルフは、と言えば、ウサギの首に噛み付いたまま振り回そうとしていた。
ウサギはウサギで、自分にもダメージがあるのもかまわず飛び跳ねている。
獣同士の命の削り合いだ。
フォース・バレットを撃てるよう準備するが、なかなか呪文を放つ機会が掴めない。
ヴォルフが一旦離れてくれないと間違って当たりそうで撃てない。
こちらの思考を読み取ったのか、ヴォルフがウサギが跳ねるのと同時にその牙を離した。
今だ。
空中に浮いた状態のウサギに向けて魔法を撃つ。
「フォース・バレット!」
魔法は命中するが、HPバーはそんなには減ってくれない。
だが吹き飛ばされたウサギは背中から地面に着地してしまい、大きな隙を見せている。
ヴォルフが再び襲い掛かった。
噛み付いた箇所は後足だ。
そのまま振り回すと地面に叩き付けた。
何度も。
何度も。
その後はオレの出番はなかった。
「よくがんばったな」 ヴォルフのHPバーは半分を割り込んでこそいなかったが、三割ほど減っているように見える。
服のポケットに入れてあったポーションを取り出すと、背中にかけた。
全快とはいかなかったが、余裕はできただろう。
オレはと言えば何度か攻撃が掠っていて一割ほど減っている。
自分にはポーションは使わないでおく。
時間経過で僅かではあるがHPは回復してくれるのも分かっている。
剥ぎ取りナイフを突き立てると、ホーン『ド』ラビットはドロップ品を三つ残して消えた。
肉と角、それに宝物もあった。
【素材アイテム】縞野兎の肉 原料 品質C- レア度3 重量1
ホーンドラビットの肉。野生の力が宿る肉だがこのままでは硬くて歯が立たない。
【素材アイテム】縞野兎の角 原料 品質B- レア度4 重量0+
ホーンドラビットの角。先端は鋭く角そのものは反っている。
【宝物】魔石 魔法アイテム 品質E+ レア度2 重量0+
魔物に宿る魔力が集約されて核となった物質。
品質はともかく、レア度が 宝物】魔石 魔法アイテム 品質E+ レア度2 重量0+
魔物に宿る魔力が集約されて核となった物質。
品質はともかく、レア度が微妙に高くなっていた。
最初のフィールドのレアモンスターか何かだろうか。妙に強かったし。
六人パーティでなら手強くはあっても問題ないのだろうが。
さらに西へ。
道沿いにホーンラビットを狩りながら進む。
遠目に森が見えた頃にそれは起きた。
《これまでの行動経験で召喚魔法レベルがアップしました!》
え?
移動してる最中にレベルアップ?
レベルアップしたのは召喚魔法スキルだ。
別に召喚魔法は使っていない。
いや。
召喚したヴォルフと行動を共にしているだけでも経験値を稼いでいるのか。
もう一度、ヘルプで魔法スキルの説明を見たら済むことだ。
【魔法 宝物】魔石 魔法アイテム 品質E+ レア度2 重量0+
魔物に宿る魔力が集約されて核となった物質。
品質はともかく、レア度が微妙に高くなっていた。
最初のフィールドのレアモンスターか何かだろうか。妙に強かったし。
六人パーティでなら手強くはあっても問題ないのだろうが。
さらに西へ。
道沿いにホーンラビットを狩りながら進む。
遠目に森が見えた頃にそれは起きた。
《これまでの行動経験で召喚魔法レベルがアップしました!》
え?
移動してる最中にレベルアップ?
レベルアップしたのは召喚魔法スキルだ。
別に召喚魔法は使っていない。
いや。
召喚したヴォルフと行動を共にしているだけでも経験値を稼いでいるのか。
もう一度、ヘルプで魔法スキルの説明を見たら済むことだ。
【魔法 うん、確かに書いてある。
確かに召喚魔法は呪文を乱発するようなスキルではない。冒険の最初に使う程度だし。
まあレベルアップの仕方としてはアリだと強引に納得する事にした。
主人公???
種族 人間 男 種族Lv2(↑1)
職業 サモナー(召喚術師)Lv2(↑1)
ボーナスポイント残21(↑2)
スキル
杖Lv2(↑1)召喚魔法Lv2(↑1)風魔法Lv1 錬金術Lv1
連携Lv1 鑑定Lv2(↑1)識別Lv2(↑1)
装備 初心者のロッド 簡素な服 布の靴 背負袋
所持アイテム 剥ぎ取りナイフ 老サモナー宅への地図
ステータス
器用値 15
敏捷値 15
知力値 18
筋力値 13(↑1)
生命力 15
精神力 19
召喚モンスター
ヴォルフ ウルフLv2(↑1)
器用値 8 うん、確かに書いてある。
確かに召喚魔法は呪文を乱発するようなスキルではない。冒険の最初に使う程度だし。
まあレベルアップの仕方としてはアリだと強引に納得する事にした。
主人公???
種族 人間 男 種族Lv2(↑1)
職業 サモナー(召喚術師)Lv2(↑1)
ボーナスポイント残21(↑2)
スキル
杖Lv2(↑1)召喚魔法Lv2(↑1)風魔法Lv1 錬金術Lv1
連携Lv1 鑑定Lv2(↑1)識別Lv2(↑1)
装備 初心者のロッド 簡素な服 布の靴 背負袋
所持アイテム 剥ぎ取りナイフ 老サモナー宅への地図
ステータス
器用値 15
敏捷値 15
知力値 18
筋力値 13(↑1)
生命力 15
精神力 19
召喚モンスター
ヴォルフ ウルフLv2(↑1)
器用値 8 そういえば他のスキルの説明は確認してなかったな。
別窓で呼び出して見る。
【魔法スキル】風魔法Lv.1(New!サモナーランダムボーナス初期取得スキル)
風属性の呪文スペルを使いこなす為の魔法スキル。
Lv向上に従いより高度な風属性の呪文スペルの使用が可能となる。
※魔法の呪文詠唱はデフォルトで自動扱いです。設定によりマニュアル化が可能です。
※金属製の武器・防具の装備によりペナルティがあります。
※呪文スペルを使用するのに魔法の発動を補助する装備についてはM・APに+表示が付記されます。
【生産スキル】錬金術Lv1(New!サモナー初期取得スキル)
素材アイテムを加工して様々なアイテムを作成する生産スキル。
物理法則に則るもの、物理法則に反するもの、魔法による加工を介在するもの、その全てを操作する。
Lv向上に従いより高度なアイテムの作成が可能となる。
※作業には別途道具が必要な場合があります。
※一部のアイテム作成には魔法スキルの習得が必要です。
【補助スキル】連携Lv1 物理法則に則るもの、物理法則に反するもの、魔法による加工を介在するもの、その全てを操作する。
Lv向上に従いより高度なアイテムの作成が可能となる。
※作業には別途道具が必要な場合があります。
※一部のアイテム作成には魔法スキルの習得が必要です。
【補助スキル】連携Lv1(New!サモナーランダムボーナス初期取得スキル)
行動の切替えや同時並行での行動をアシストする補助スキル。
手際がよくなる、器用に物事をこなすのに有効。
Lv向上に従い、より器用な行動が可能となる。
【補助スキル】鑑定Lv2(New!サモナー初期取得スキル)
アイテムの価値を見抜く補助スキル。
Lv向上に従いレア度の高いアイテムの価値を見抜けるようになる。
【補助スキル】識別Lv2(New!種族ランダムボーナス初期スキル)
視認範囲の情報収集をアシストする補助スキル。
Lv向上に従い情報収集能力は向上する。主にモンスター情報の収集に有効。
さくっと き誇る花や芽吹く緑が綺麗なのもそうだけど、私は風が好き。
暖かなそよ風が頬を撫でるだけで、なんだか心が弾んで鼻歌でも歌いたくなる。
ある人は「もし夏にこんな風が吹いたら寒く感じるんだ」何て言ったっけ。
最初聞いた時は「何言ってるんだろ」と思ったけど、今はいろんな意味で考えさせられる。
そんな事を考えていたら、窓から風が吹いてきた。
優しい日溜まりの中でこんな風を受けていたら、すぐにでも夢の中へ入ってしまいそうだ。
だけどここは西側の廊下なので、いつまで経っても目は冴えたまま。
「クシュッ」
いくら春の風が好きでも、さすがに日陰で吹かれるものじゃない。
私はぐずつく低い鼻を軽くこすって、冷え込む廊下を小走りで駆け抜けた。
角を曲がってしばらく行くと、小さな窓から明かりが漏れている。
知らない内に足が早くなる。
窓はもうそこ。茶のショートカットが後ろに流れる。
「うー」
わずかに差し込む日差しを浴びて一息ついた。
おかげで鼻のぐつつきも止まったけど……。
「……じゃないっ」 らないなんて、これだから編入生は嫌なのよ」
「あなたみたいな人が入ってくるから、学校の質が落ちるのね」
「どうでもいいけど、あなたは入学してもいい事はなくてよ」
「ま、おとなしくしていれば、無視くらいで勘弁して上げるわ」
勘に障る笑い声が辺りに響きわたる。
私は壁際に身を寄せ、少し様子を窺った。
階段の踊り場には、品は良さそうだが陰険な顔の女子生徒が3人。
そして彼女らに囲まれる形で、一人の女子生徒が俯いている。
その中の一人が手を伸ばし、俯いている女の子を壁際に突き飛ばした。
「何よ、さっきから黙ってて。私達が話してあげてるんだから、返事くらいしたら」
「これだから貧乏人は嫌ね。どうせ寄付金が払えないものだから、高等部の試験まで待ったんでしょ」
大企業と政府に自治体が共同出資して創設された、この高校。
その生徒は、高等部だけでも相当な人数に上る。
また実感はないが我が学校は結構優秀らしく、越境入学してくる者も多い。
ただ小等部からの越境入学は、試験以外に多額の寄付が必要。
高等部からはそれが免除されるため、高等部から編入してくる生徒も多い。
ちなみに私は地元なので、小等部からここに在籍している。
お金も払えないし、試験もなくて助かった……。 があるから出てきたんじゃないの。私、これでもガーディアンでね。エアリアルガーディアンズの、雪野優ゆきの ゆうっていうんだけど」
それを聞くや、3人は顔を引きつらせる。
どうも聞き覚えがあるらしい。
「あ、あなたがっ?」
「そ、そういえば、背中の棒……」
一人が、私の背中に見えるスティックを指差している。
真っ青な顔で後ずさる彼女達。
「ほら。背も小さいし、顔も丸いわ……」
余計な事まで小声で言ってる。
確かに顔の輪郭は丸っこく見えるが、それはショートカットのせいだ。
黒い瞳はそこそこ大きいはずだ。
ふっくらとした唇もほんのり赤みがさして、それなりに見れると思うのだが……。
肌はそんなに白くないけど、きめが細かいとよく言われる。
言っておくが身内にじゃなくて、他人に。
唯一の欠点は、いかんせん体つきがいまいち貧弱な所か。
ある人なんか「さらしでも巻いてるの」と言ってきた。
さらに悲しいのは、その時と今の体型に大差がない事……。
「ちょっと」
その貧弱な体と丸っこい顔で声を掛けると、背を向けかけていた3人は慌てて振り返った。
「は、はい」
小刻みに震えながら、直立不動の姿勢で並んでる3人。
私は斜に構え、声を低くした またこんな事をやってるって噂でも聞いたら、覚悟しなさいよ。あなた達も、今更退学したくないでしょ」
「は、はいっ」
「じゃ、行って」
私が手を振るや、激しく頭を下げ逃げ去っていく3人。
タイムを計りたい程の早さで。
「馬鹿みたい」
笑い半分苛立ち半分で彼女達が消えた廊下を睨んでいたら、肩をつつかれた。
「あ、あの」
振り返ると、絡まれていた女の子がおどおどしながら頭を下げている。
私も釣られて、頭を下げる。
きりがないと思ったのか、女の子は遠慮気味に顔を上げてはにかみ気味に微笑んだ。
「あ、ありがとうごさいました。lあの、私……」
「気にしなくていいよ。そうそう、第2講堂は真っ直ぐ行って右の階段で2階。そこまで行けばもう分かるわ。入学式はもうすぐだから、急いだ方がいいよ」
「ありがとうございます」
もう一度、深々と頭を下げる彼女。
相当恥ずかしくなってきたので、背中のスティックを意味もなく触ってみたりする。
「あんな馬鹿達は気にしなくていいからね。じゃ」
私は彼女に背を向け、来た道を引き返した。
しかし入学式前から仕事とは 新一年生として出席した入学式は無事終了し、生徒達は自宅や寮に帰っていく。
とはいえ、そういう人達は少数派。
残りの生徒達は、クラブや生徒会関連の活動が待っている。
そして私も、ある場所へと向かっていた。
やがて目的の部屋へたどり着いたところで、ドアの前に立つ。
……開かない。
今時手動のようだ。
自分で開けますとも、ええ。
室内には安っぽいロッカーや卓上端末が置かれていて、一応テレビなんかもある。
その室内には、本を読んでいる地味目な男の子が一人。
服装もパーカーに紺のジーンズという、大人しい物。
ちなみに私の服装は、こう。
白のブラウスにパステルグリーンのボレロ。胸元には薄茶のスカーフがリボン状に結ばれている。
タータンチェックのスカートは膝のやや上ってとこ。
足元は少しクリーム色がかった短めのソックスに、紺のスニーカー。
別に私服でもいいんだけど、コーディネートを考えるのが面倒な私は大抵制服で済ませている。
結構いいデザインだしね。 新一年生として出席した入学式は無事終了し、生徒達は自宅や寮に帰っていく。
とはいえ、そういう人達は少数派。
残りの生徒達は、クラブや生徒会関連の活動が待っている。
そして私も、ある場所へと向かっていた。
やがて目的の部屋へたどり着いたところで、ドアの前に立つ。
……開かない。
今時手動のようだ。
自分で開けますとも、ええ。
室内には安っぽいロッカーや卓上端末が置かれていて、一応テレビなんかもある。
その室内には、本を読んでいる地味目な男の子が一人。
服装もパーカーに紺のジーンズという、大人しい物。
ちなみに私の服装は、こう。
白のブラウスにパステルグリーンのボレロ。胸元には薄茶のスカーフがリボン状に結ばれている。
タータンチェックのスカートは膝のやや上ってとこ。
足元は少しクリーム色がかった短めのソックスに、紺のスニーカー。
別に私服でもいいんだけど、コーディネートを考えるのが面倒な私は大抵制服で済ませている。
結構いいデザインだしね。 上にある書類を見せる男の子。
細い目に低い鼻、若干細目の顎。
髪もただ伸ばしただけの感じで、やはり地味としかいいようがない。
「相変わらずね、ケイ。気が回るというかなんというか」
「どうも。だけどリーダーはユウなんだから、本当は自分でやらないと」
「い、いいじゃないの。私はそういうの不向きなんだから」
ケイは笑いながら、紅茶を私のマグカップに注いでくれた。
ほんわかと立つ湯気が、ゆっくり天井に上っていく。
私の好きな瞬間だ。
「いいお嫁さんになるわよ」
「じゃあ、誰か紹介してくれ」
「嫌だ」
「何だ、それ」
苦笑するケイ。
フルネームは浦田珪うらた けいだが、久しく「浦田君」なんて呼んでない。
向こうも冗談でない限り、「雪野さん」って呼んでこないけどね。
「みんなは?」
「まだ来てない。ここが正式に利用できるのは午後からだから。それに、入学式が終わったばかりだろ」
「時間前に来るのは、あなたくらいだものね」
「どうせ、俺はおかしな人間ですよ」
自分で言ってる。
だけど本当なので、フォローのしようがない。
「今日が入学式……。明日から一揉めあるかな」
「ええ」
ちょっと気が重い。
編入生と繰り上がり組との対立はこの時期から始まると言っていい。 曖昧に頷いて、室内を見渡した。
「しかしこのオフィスは狭いな」
「仕方ないわよ。全員で4人しかいない弱小ガーディアンだもの」
「さっき生徒会ガーディアンズのオフィス見たんだけど、この倍はあった。なんか、悲しいね」
彼はほら吹きで皮肉屋なので、私はその発言を真に受けない。
それを裏付けるかのように、鼻先で笑った。
本当に仕方のない人だ。
「す、すいませんっ」
突然ドアが開き、息を切らした男の子が入ってくる。
私は傍らに置いていたスティックを掴み、素早く立ち上がった。
「どうかした?」
そんな私とは違い、腰を降ろしたままマグカップを片手に尋ねるケイ。
何で慌てたりしないのか不思議だが、この人はいつもこうである。
とにかく慌てない。
鈍いのではなく、怖いまでに冷静なのだ。
ハチが目の前に飛んできても、平気でマンガ読むくらいに。
「慌てた方が危ない」からだって。
そうかもしれないけどさ。
飛び込んできた男子生徒は、彼の様子を気にしながら話し始めた。
「そ、そこの教室で、何人かが集まって揉めてるんです。武器とかも持ってるみたいで……」
「何人か……」の辺りで、ゆっくりと部屋を出て行くくケイ。
人間性はともかく優秀ではあるので、その判断に心配はいらない。
ちなみに私はじっくりと話を聞く。
過去の失敗がそうさせるのだ。
「学校内に持ち込み禁止の武器はあった?それと人数は何人くらい?」
「よ、よく見てませんが……、木刀や警棒くらいしか見ませんでした。人数は20、いや10人ずつくらいだと……」
この慌てようだと正確な情報 曖昧に頷いて、室内を見渡した。
「しかしこのオフィスは狭いな」
「仕方ないわよ。全員で4人しかいない弱小ガーディアンだもの」
「さっき生徒会ガーディアンズのオフィス見たんだけど、この倍はあった。なんか、悲しいね」
彼はほら吹きで皮肉屋なので、私はその発言を真に受けない。
それを裏付けるかのように、鼻先で笑った。
本当に仕方のない人だ。
「す、すいませんっ」
突然ドアが開き、息を切らした男の子が入ってくる。
私は傍らに置いていたスティックを掴み、素早く立ち上がった。
「どうかした?」
そんな私とは違い、腰を降ろしたままマグカップを片手に尋ねるケイ。
何で慌てたりしないのか不思議だが、この人はいつもこうである。
とにかく慌てない。
鈍いのではなく、怖いまでに冷静なのだ。
ハチが目の前に飛んできても、平気でマンガ読むくらいに。
「慌てた方が危ない」からだって。
そうかもしれないけどさ。
飛び込んできた男子生徒は、彼の様子を気にしながら話し始めた。
「そ、そこの教室で、何人かが集まって揉めてるんです。武器とかも持ってるみたいで……」
「何人か……」の辺りで、ゆっくりと部屋を出て行くくケイ。
人間性はともかく優秀ではあるので、その判断に心配はいらない。
ちなみに私はじっくりと話を聞く。
過去の失敗がそうさせるのだ。
「学校内に持ち込み禁止の武器はあった?それと人数は何人くらい?」
「よ、よく見てませんが……、木刀や警棒くらいしか見ませんでした。人数は20、いや10人ずつくらいだと……」
この慌てようだと正確な情報 かってるわよ。大体ショウこそ、今頃来て。何やってたのよ」
鼻を鳴らして、冷や汗を流し小声でひたすら謝っている馬鹿男の脇を抜ける。
こっちが勘弁して欲しい。
「まだ式が終わったばかりだろ。それより、もっと穏やかにやれって」
「い、今のは緊急事態よ。でないと、現場に行けないじゃない」
「緊急事態ね……。確かにその格好は、緊急事態って感じだな」
「え?あっ」
プロテクターの残骸を身にまとっている私をじっと見つめるショウ。
私は気づかない振りをして、先を急いだ。
隣を一緒に歩く彼を、ちらっと窺う。
甘さを漂わせた彫りの深い顔で、二重の澄んだ綺麗な瞳が特に目を引く。
勿論他のパーツも、それに負けないクオリティ。
身長は見上げる程で、スタイルも均整が取れている。
加えてきびきびとした身のこなし。
左右に分けた長い髪をかき上げる仕草は、ショーモデルでも到底太刀打ち出来ない格好良さである。
彼は焦げ茶の革ジャンに黒のスラックス。足元にはブーツを履いている。
ちょっと着崩した感じで、彼にはよく似合っている。
フルネームは玲阿四葉れいあ しようという、小難しい名前。
ただ「シヨウ」とは発音しにくいので、私達は「ショウ」と呼んでいる。
お父さんが前大戦のターニングポイント・北陸防衛戦の英雄で、玲阿流という古武術とも関係が深い。
だからそんなショウの後ろを の男はドアに挟まったままぐったりしてて、身動き一つしない。
でもそんな彼のおかげで、中を見られるようになった。
壁に身を寄せ、室内を覗き込む。
室内の状況は、通報してくれた人の話と大差ない。
木刀や警棒を持っている連中が、教室の前後で向かい合っている。
人数も、彼が話していた通りである。
ただ少し違うのは、中央で机に腰掛けているケイの周りに何人か倒れている事。
おそらく彼を敵と思い込み向かっていったはいいが、返り討ちにあった連中だろう。
一見弱っちそうだけど、あれでも柔術とボクシングを体得しているのだ。
私達は中の雰囲気を慎重に見極め、室内に入っていった。
「どうも」
軽い感じで入っていくショウ。
私も笑顔とまではいかないが、明るい顔付きでケイの側に向かう。
睨み合っていた連中は、訝しげな表情で明らかに怪しい私達を見ている。
で、ここからが肝心。
変に刺激すると、騒ぎが大きくなる。
より細心に、そして大胆にである。
「何があったか知らないけど、今日は入学式なんだし。ここは穏やかに」
「そうそう。さ、そんな物持ってないで」
私とショウは二手に分かれ、呆気に取られている連中から木刀や警棒を取っていく。
素早くやらないと、何で武器を取られるのか疑問に思う人が出てくるのでちょっと焦る。
というか、抱えるのが辛い。
手が短過ぎるんだよね。
体が小さいとも言うけどさ。
それでもどうにか、全員の武器を回収出来た。
何か隠し持 とにかく、今日はこのまま解散して。調書も取らないし、生徒会にも報告しないから。」
片方の代表いかつい顔のスキンヘッドと、もう片方の代表の痩せた男は、露骨にため息を付いて私を睨んだ。
「馬鹿か。俺達にもメンツってのがあるんだよ。ガーディアンが来ました、はいそうですかっていくと思ってんの」
「自分達のケリくらいは、自分で付けられるんだよ。てめえは引っ込んでろ」
このくらい言われるのは馴れている。
私は穏やかな表情を崩さずに、話を続けた。
「そうはいっても、あなた達の行動でもう迷惑を受けている人もいるのよ。この教室だって、午後からは使うかもしれないし。何か不満があるなら後で聞くから、とりあえずはこの教室から出て」
すると二人は馬鹿にしたような笑顔を浮かべ、鼻を鳴らした。
まだ平気だ、……と思う。
「どうしても出ていかないのなら、実力行使するわよ。それじゃお互い傷つくし、後味が悪いでしょ。ここは両方とも少し我慢して」
全く無視される私。
二人は背を向け、それぞれの仲間の元へ戻っていく。
「ちょっと、もう一度言うわよ。早く出ていかないと……」
スキンヘッドが振り向き、唾を吐いた。
「うるせえ。女だからって手を出さないと思ったら大間違いだぞ」
頭の上の方が少し熱くなった。
でも我慢。
拳を小指から握り込んで、我慢する。
「ガキみたいな体しやがって。色仕掛けが出来るくらいの奴を連れてこいや」
これは痩せた方。
何がそんなにおかしいのか、両陣営から嘲笑がわき上がる。
「誰がガキですって?」
静かに尋ねる。
声が震えるのを、抑えるようにして。
すると痩せた男の指が、はっきりと 本編のメイン登場人物達の簡単な紹介をしておきます。女性陣の胸の後の()はブラのサイズです。その他実家等のデータは本編で語られる時までお待ち下さい。
カイトの300年前の仲間はもっと多いんですが、今はまだ序盤で出て来る面子だけです。なので今後も暇を見つけてはちまちまと追加していきます。
なお、これで全部ではないです。主要な所のみを記載しています。
第一章 プロローグ編
登場人物紹介 本編版
*年齢について*
年齢は冒険者登録証――本編参照――に記載されている物で、数えで記載しています。
・天桜学園の生徒達
・天音 カイトあまね カイト
年齢:不明
種族:不明
髪の色:蒼(魔術で黒に変更)
髪型:少し長め
目の色:蒼(魔術で黒に変更)
身長:180センチ(本来は182センチ)
性格:クール(本来は熱血系)
職業:天桜学園2年生 神楽坂 睦月かぐらざか むつき
年齢:16歳
種族:人間
髪の色:黒
髪型:ショートカット
目の色:黒
身長:156センチ
胸のサイズ:不明
性格:無自覚に庇護欲を振りまく
職業:天桜学園1年生
生誕地:日本・京都府(現住所:天神市) クズハ・マクダウェル
年齢:316歳(300年前当時:6歳)
種族:ハイ・エルフ
髪の色:金
髪型:ロング+ストレート
目の色:青
身長:152センチ
胸のサイズ:74センチ(A)
性格:お淑やか系ブラコン
職業:公爵代行/カイトの義妹
生誕地:ハイ・エルフ領・神葬の森
・アルフォンス・ブラウ・ヴァイスリッター ・アルフォンス・ブラウ・ヴァイスリッター
年齢:17歳
種族:混血
髪の色:銀
髪型:中くらい
目の色:赤
身長:168センチ
性格:爽やか系女誑し
職業:公爵軍特殊部隊隊員/冒険部指南役
生誕地:マクダウェル公爵領・マクスウェル
・リィル・バーンシュタット
年齢:18歳
種族:混血
髪の色:赤
髪型:ロング+ポニーテール
目の色:赤
身長:165センチ
胸のサイズ:80センチ(C)
カイトとティナが天桜学園と共に帰還するよりも遥かに昔。カイト達が乱世を駆け抜けた頃よりも、更に前。まだティナが魔王に就任するよりも前。エンテシア皇国もルクセリオン教国も、いや、エネシア大陸の大半の国が存在していなかった頃。
これは、その頃の話だ。叛逆戦争の最終盤。最終決戦となる戦いの数日前。とある砦のある部屋で、純白の青年、即ちイクスフォスが、膝を屈して息を荒げていた。
「げほっ! くっ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
「イクス! 倒れるな! 貴様が倒れたら全てがご破産だ! アウル! 大急ぎで回復薬を持って来い!」
「はい!」
真っ青な顔でうつ伏せに倒れこんだイクスフォスを見て、ジェイクが大急ぎで周囲の仲間達に指示を送る。今は戦いも終盤。あと少しで、マルス帝国が倒せる所なのだ。
だが、その最終決戦で勝利を得る為には、イクスフォスの力はどうしても必要だった。戦略的な意味でも、周囲を数百万の軍勢に囲まれているという状況での精神的な支えという意味でも、彼に倒れてもらっては困るのであった。
「ちょ、ちょっと休ませて・・・」
「弱音を吐くな」
「げふっ!」 カイトとティナが天桜学園と共に帰還するよりも遥かに昔。カイト達が乱世を駆け抜けた頃よりも、更に前。まだティナが魔王に就任するよりも前。エンテシア皇国もルクセリオン教国も、いや、エネシア大陸の大半の国が存在していなかった頃。
これは、その頃の話だ。叛逆戦争の最終盤。最終決戦となる戦いの数日前。とある砦のある部屋で、純白の青年、即ちイクスフォスが、膝を屈して息を荒げていた。
「げほっ! くっ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
「イクス! 倒れるな! 貴様が倒れたら全てがご破産だ! アウル! 大急ぎで回復薬を持って来い!」
「はい!」
真っ青な顔でうつ伏せに倒れこんだイクスフォスを見て、ジェイクが大急ぎで周囲の仲間達に指示を送る。今は戦いも終盤。あと少しで、マルス帝国が倒せる所なのだ。
だが、その最終決戦で勝利を得る為には、イクスフォスの力はどうしても必要だった。戦略的な意味でも、周囲を数百万の軍勢に囲まれているという状況での精神的な支えという意味でも、彼に倒れてもらっては困るのであった。
「ちょ、ちょっと休ませて・・・」
「弱音を吐くな」
「げふっ!」 ぐらり、と揺れたイクスフォスの身体を、ユスティーツィアが大慌てで支える。なんだかんだ言いつつも回復薬をいの
一番に持ってきたり、と彼女もイクスフォスの事が大切なのだ。まあ、最愛の夫なのだから、当然といえば当然だろう。
そうしてユスティーツィアに支えられたイクスフォスを、更に逆側から
天族の青年が支えた。彼は何処か、アウラに似たおっとりとした雰囲気があった。
「イクス、とりあえず椅子で休んで。さすがにまだライン帝も動きようが無い」
「ああ・・・ごめん。
ヘルメス、皆は?」
「うむ。お主がおるから、と不安は見せておらんよ」
椅子に座ったイクスフォスに問われて答えたのは、カイトと旅をした頃よりもかなり若く、殆どシワの無いヘルメスだった。
先ほどの天族の青年は、彼の息子。即ち、後のアウラの父親だった。名を、アウルと言う。先にジェイクの指示で回復薬を取りに行った青年だった。
「そうか・・・で、ジェイク。次は何処に行けば良い?」
「・・・まだ、行けるか?」
「うん。まだ転移出来る」
顔色が戻ったイクスフォスは、ジェイクの問いかけに頷く。今のイクスフォスが何をしていたのか、というと、至極簡、
単にいえば、転
移だ。とは言え、カイトやティナ達が使う魔術での転移術では無く、彼の特殊な力
の一つである、特
殊な空間転移術だった。それを何度も繰り返していたのである。
だが、ジェイクはイクスフォスの返答をあまり信じていなかった。なにせ
倒れたのは、一度だけでは無いのだ。ここ数日でおそらく両の指では足りないぐらいの数で、イクスフォス イクスフォスの言葉に、ジェイクが頭を下げる。彼がやっているもう一つの事とは、空間隔離と言われる彼の力の一つだ。そのまま読んで字のごとく、空間を隔離して、中の状況を悟らせなくするのである。
だが、これら特殊な力の使用には、普通の魔術と同じく、魔力が必要だ。確かに同系統の魔術よりも遥かに高効率で結果をもたらされるが、それでも距離や規模に応じて、それ相応の魔力を消費する。彼の疲労の原因は、特にこの どっかって……、どこ?」
「それくらい考えなよ。どっか」
「……。どこ行きたいんだよ?」
「えーっ? じゃあぁ……クラブっ。ほら、この前行ったトコとは別のさっ」
「駄目だよ。……オレ、あのあと父さんにめちゃくちゃ怒られて、殴られたんだからさ」
「いーじゃんっ。こっそり行こうよ、こーっそりっ」
「無理だよ。すぐばれるよ」
「なによー。怖いのー?」
「おまえは殴られないからいいだろうけどさ……」
「男でしょー? もっとしっかりしてよねー」
「もう。いいよ。どうせ」
「ほんっと、頼りないわねー。だからバカにされんのよ、あんたわー」
一日なんて、過ぎてしまえばそれで終わり。
朝が来て、夜が来て。そして、また朝が来る。その繰り返し。
そこには何もない。ただ、時間が過ぎる、それだけのこと……。
オレには、“未来”なんて、あって、ないモノ。
決められた道がある。だから、未来なんて見えているも同然。ただ、そこに向かって進めばいい。それだけ。
「ねえ、またうちに来なよ。……この前さあ、ネットでおもしろいDVD見つけたんだぁ。買っておいたからぁ」
「……。あのさ、ホント、いい加減にしないと……、オレ、おばさんになんて言えばいいわけ?」
「そのときは、結婚しまーす、って、嘘つけばいいじゃん」 ……おまえと結婚とかしたくないし」
「誰があんたなんかと結婚してやるかっ」
ガツッ、と、グーで腕を殴られて、痛かった。「いてっ!」って、腕を押さえると、今度はその手の甲を殴られて、痛さは二倍。
「なにすンだよ……。ったく……」
「生意気なのよ。口答えするんじゃないわよ。あたしの言うこと聞いてればいいの、あんたわ」
「……ンだよ……」
不愉快げに呟いたところで、立場は変わらない。
そう、……何をしたところで、どうせ何も変わらないんだ――。
「ね、今晩、うちにおいでよ。ねえ」
怒っていたかと思えば、今度は甘えた笑顔になる。
人の目なんて気にしないで腕を絡ませ、体をすり寄せてくる。
最初の頃は、「やめろよ」って抵抗していたけれど、それだって、やったところで何も変わらない。“未来”は同じだ。
「……遅くまでは無理だよ」
「じゃあ、夕方からおいで。晩ご飯、うちでごちそうになるからって、言ってさ。勉強するからって」
「……、それ以外の嘘はないの? オレ、この前、テストの成績悪かったから、その嘘はもう通用しない」
「じゃあもう、ホントのこと言っちゃえば? カズんちでちょっとエッチなDVD見てエッチしてくるって」
「……、バカ?」
「あんたの方が絶対バカ。あたしの方が偉いの。わかった?」
“未来”なんて考えたことはない。考えたところで、何も浮かばない。 このままが、永遠に続く。……そんな“未来”。
退屈なことはない。不自由さも感じたことはない。そこそこ楽しくて、そこそこ満足して。ただ……ふと気が付くと、「オレは何をしているんだろう?」って思うときがある。
虚しくて、寂しさを感じるときがある。
それは、幼い頃に感じたモノと似ている。
仕事で忙しかった、父さんと母さん。祖父母に預けられて、かわいがってもらえたけれど……、何かが違った。
嘘をついて、病気のふりをした。父さんと母さんが心配してくれる、それが嬉しかった。
――孤独なのかな、オレ。
「夕方ね。待ってるから」
「……うん、わか……」
オレは言葉を切った。
遠くから、パトカーと救急車のサイレンが響いて、それがすごいスピードで横を通り過ぎ、振り返った先、病院の門をくぐっていった。
「うわ、なんだろ? パトカー先導してたよ? 殺人とかかな? 事件じゃないの?」
いかにもヤバい、って声。
でも、オレは無関心だった。
「ただの事故だよ、どうせ」
「うわー。内蔵とか出てたら最悪ぅー。見たくなーい」
「……。じゃあ、ホルモンとか食べるなよ」
「うるさい! あれは牛じゃん! 牛! ニンゲンじゃないでしょ!」 うるさい! あれは牛じゃん! 牛! ニンゲンじゃないでしょ!」
ガツガツッ、と、またグーで腕を殴られて、オレは「あとでそっち行くからっ」と、その場から逃げた。
「早くおいでねー!」
そんな明るい声を背中に受けて、オレは痛む腕を撫でつつ、父さんがいる病院を訪ねた。
祖父が死に、父さんが正式に後を継いで院長になったのは、二年前――。
オレもいずれ、この病院を背負うことになる。
……見えている“未来”だ。
来客のドアから院内に入ると、顔見知りの看護婦と、いつものように挨拶をする。ほとんどが幼い頃からいる人たちばかりで、気心も知れていた。
「流君、青称学園だったわよね?」
受付嬢に聞かれ、「そうだよ」って答えながら今日の来客名簿を見ていると、「あららぁ……」と、残念そうな吐息を彼女は漏らした。
「さっき、救急車で運ばれたんだけど。男の子。青称学園の子だって」
「……、そうなの?」
「みたいよ。頭を金属バットで殴られたんですって。脳がバラバラだったでしょうね。……想像しただけでも吐きそう」
「……なに? 不良?」
「そうじゃないの? でも、青称って、そんなに悪いところだった?」
「……さあ。みんな、裏で何してるかわかんないし」
「流君も気を付けるのよ? 変な人にからまれないようにね」
「からまれないよ、オレなんか。不良じゃないんだしさ」
「そうよね。……あ、院長先生が対応してるみたいだから」
「うん、いいよ。小児病棟行ってくる。本読んでやるって言ってたから」
「ありがと」
……いつもの日課のようなもの。
小児病棟に入院している子どもたちの相手をする。
決められたことじゃない。でも、子どもの頃、病院に来て父さんのあとを付いていると、「子どもたちと遊んであげなさい」って言われた。それが、今も続いているようなものだ。
「恩を着せておく」、そんな感じにも似ている。
病院の評判を落とさないために。
――患者や、看護婦たちとすれ違い歩いていると、バタバタと、走 を着せておく」、そんな感じにも似ている。
病院の評判を落とさないために。
――患者や、看護婦たちとすれ違い歩いていると、バタバタと、走るように歩いている医者と数名、すれ違った。いつもは挨拶を交わすけれど、そんな余裕はないらしい。病院の外からは、またパトカーのサイレンが聞こえてきたり。
……そういえば、同じ学校の生徒だったな。明日、登校したら、何か話しがあるんだろうな。
そんなことを考えていた。
オレにはどうでもいいこと。無関係だ。――でも、うちの病院に運ばれてきたなら、必ず、みんなの注目を集めることになる。きっといろいろと聞かれてしまう。
面倒臭さを感じて、「ほんの少しだけでも、情報を仕入れておこうか」って思った。きっかけは、それだけのこと。
どこに運ばれたかはわからない。けど、緊急搬送されたなら……。
院内の地図を頭の中に広げて、足早に歩き回る医者や看護婦の邪魔にならないように歩いた。
にしても、金属バットで頭を殴られた、か――。脳髄が飛び散るほどだったら、即死かな。ドナー登録をしててくれてればいいけど。……どうせろくなヤツじゃなかったんだろうから、世の中のため、せめてそれくらいはやって欲しい。
歩き保って、そんなことを思っていた。
まるで、新聞やテレビニュースの出来事のように。数分も経てば、関心をなくしてしまう出来事のように。
警官の姿も見えだし、彼らの話に聞き耳を立てようと、オレは歩く足を緩めた。
「青称学園の高等部一年、渡翔太。十六歳。確認しました」
「両親がそろそろ来る頃だろう」
「一緒にいた女の子は?」
「まだ誰かわからない。ショックなんだろう、……話せないみたいだ」
「それもそうか。目
――遠くの方に、ひとり、ポツン を着せておく」、そんな感じにも似ている。
病院の評判を落とさないために。
――患者や、看護婦たちとすれ違い歩いていると、バタバタと、走るように歩いている医者と数名、すれ違った。いつもは挨拶を交わすけれど、そんな余裕はないらしい。病院の外からは、またパトカーのサイレンが聞こえてきたり。
……そういえば、同じ学校の生徒だったな。明日、登校したら、何か話しがあるんだろうな。
そんなことを考えていた。
オレにはどうでもいいこと。無関係だ。――でも、うちの病院に運ばれてきたなら、必ず、みんなの注目を集めることになる。きっといろいろと聞かれてしまう。
面倒臭さを感じて、「ほんの少しだけでも、情報を仕入れておこうか」って思った。きっかけは、それだけのこと。
どこに運ばれたかはわからない。けど、緊急搬送されたなら……。
院内の地図を頭の中に広げて、足早に歩き回る医者や看護婦の邪魔にならないように歩いた。
にしても、金属バットで頭を殴られた、か――。脳髄が飛び散るほどだったら、即死かな。
「まだ誰かわからない。ショックなんだろう、……話せないみたいだ」
「それもそうか。目の前で人が殺されればな……。かわいそうに」
一緒にいた女の子? 付き添いがいたのか……。
頭に浮かんだ ひょっとして、お兄さんか?
オレは目を泳がせて、意を決して椅子を立つと、そっと、曲がり角から顔を覗かせて窺った。……その目が止まった。
――泣いている。対面の壁をにらみながら、赤く汚れた頬に涙が流れて、跡が残っていく。
遠い場所だけど、それがは
っきりとわかった。
オレはためらった。すごく動揺した。
足早にそばを通り過ぎる人は、誰も声をかけない。チラッと見ていくだけ。「声
をかけても無駄」「今はそっとしておこう」、そんな空気さえ感じる。
でも、オレは違った。
タオルを持っていってあげた方がいいかもしれない。何か、温かい飲み物とか用意してあげた方がいいかもしれない。病院から出た方がいいかもしれない。
――頭の中が混乱していた。こんな時、どうしたらいいのかわからなかった。もう、無視しようと思った。なのに、弱い感情が、逆に作用した。
関わらない大人に飲まれて、
オレも同じ事をしちゃいけない。……あの子は、入院をしている子どもたちと同じだ。同
じように接すればいいんだ。……大丈夫。きっと、もうすぐ家族もやってくるだろう。それまでの間。その間だけでもいいんだ。
放っといちゃいけない気がした。あんなに怖い顔して、泣いて。……耐えている。このままじゃ、心を壊してしまうかもしれない。
――近寄りたくはなかった。本当は、見ないふりをしたかった。
「体と心は別」。性的な事以外にもそういうことがあるれた顔を拭いてあげようかと思ったけれど、あいにく、ハンカチとか持
っていなかった。馴染んだ相手なら、袖を引っ張って、それで済ますところだけど、そ
うもいかない。だからせめて、血飛沫を浴びた体だけでもなんとかしようと、オレはコートを脱いで、それを彼女の肩か
らかけてあげた。
でも、彼女は動かない。
――いや。よく見ると、口が微かに動 はもう帰っていい」
それ以上のことは何も言わない父さんを、オレはじっと見上げた。父さんは、間を置いて彼女の頭に目を向けて、首を振った。
――わかっていたことだ。でも、なんだか残念で……。
うつむいたオレに、父さんは小さく続けた。
「……慌ただしくなるから。……おまえがここにいたって、どうしようもないだろ」
……そう、オレは無関係だ。医者でもない。看護婦でもない。顔見知りでもない。
父さんは「いいな?」と、忠告するように確かめて背を向けた。
「父さんっ……」
オレは不意に声をかけた。
どうしたんだろう。急に、本当に急に……、例えようのないくらいの不安に襲われた。「今日、早く帰ってくる?」って、聞きかけた。でも、聞けなかった。
戸惑うオレに、父さんは振り返って、間を置いて苦笑した。――ただ、それだけ。
歩いて行く、その背中を見送って、オレは深く息を吐いて椅子に背もたれた。
……我ながら情けける、それを“絶対のもの”にしたから どうしようもないときは、おいで。ボクは、いつもここにいるから。……呼んでくれて、いいから。……ボクが、そばにいてあげるから。……ボクの名前は……反町流。……ここに、いるから……」
うつむいていたオレの顎に、彼女の頭のてっぺんが触れた。甘い香りとぬくもり、それを意識するよりも前に、突然、彼女の糸が切れた。
「うっ……ああぁぁー……!!」
子どもたちの泣き声に負けないくらいの声に、一瞬、行き来していた人たちの動きが止まった。けれど、気にしながらもまた動き出す。
オレの背中の服をギュッと握りしめて、すがるように顔をこすりつけて泣き出した。
驚きもあったけど、でも、これでいいって、ホッとした。たくさん泣いた方がいい、って。
……やっと、いつもの調子に戻 わからないんだ」
携帯電話の向こう側、不愉快そうな空気を感じながら、オレは、赤くなってきた空を見上げた。
「……どうなるか、わからない。……こういうの、初めてなんだ……」
《……。何言ってるの?》
「……カズに頼ってちゃ、いけない気がする。……オレ……強くならなくちゃ。今のままじゃ……駄目なんだ」
《ちょっと。流? どうしたの? 悪いものでも食べた? 看護婦にいじめられた?》
「……」
《言いなよっ。あたしが文句言ってあげるからさっ》
「……ごめん。……オレ、もう、おまえとは遊ばないから。家にも行かないから」
《ちょっと!》
「……、じゃ」
《コラァ!!》
怒鳴り声が続いていたけど、有無を言わさず通話を切って、留守番電話に切り替え、それをズボンのポケットに入れた。
明日、学園に行けば、 わからないんだ」
携帯電話の向こう側、不愉快そうな空気を感じながら、オレは、赤くなってきた空を見上げた。
「……どうなるか、わからない。……こういうの、初めてなんだ……」
《……。何言ってるの?》
「……カズに頼ってちゃ、いけない気がする。……オレ……強くならなくちゃ。今のままじゃ……駄目なんだ」
《ちょっと。流? どうしたの? 悪いものでも食べた? 看護婦にいじめられた?》
「……」
《言いなよっ。あたしが文句言ってあげるからさっ》
「……ごめん。……オレ、もう、おまえとは遊ばないから。家にも行かないから」
《ちょっと!》
「……、じゃ」
《コラァ!!》
怒鳴り声が続いていたけど、有無を言わさず通話を切って、留守番電話に切り替え、それをズボンのポケットに入れた。
明日、学園に行けば、 び出されて三ヶ月。
研究所で只管ポーションを作っていた私の製薬スキルは21レベルまで上がった。
ポーションは10レベル毎に作れるランクが上がるので、現在は上級HPポーションも作れる。
ただし、まだ失敗することも多かったり……。
上級のポーションは使用する薬草も貴重な物が多いため、あまりにも失敗が多いこのレベルでは中々作らせてもらえない。
20レベルを超えて作った上級HPポーションはまだ3つなのよね。
それでも、そもそも上級のポーションを作れる人間が少ないため、研究員の私が上級のポーションを作れるようになったのは快挙らしい。
今までは研究所に上級のポーションを作れる人間が一人もいなかったらしく、研究で使うときには外部に注文して取り寄せていたらしいので、私が作れるようになった時には、その分の手間とコストが減ると喜ばれた。
製薬スキルのレベルを上げるためにはポーションを作る必要があるのだが、一般的には魔力が枯渇してしまうので、一日に作 があるのだが、一般的には魔力が枯渇してしまうので、一日に作れるポーションの個数に限界があり、なかなかレベルを上げられないのだそうだ。
私?
「相変わらず、おかしな量を作ってるね」
「そう?」
「うん。一日に中級のポーションを10本以上作れるとか、十分おかしいから」
目の前の保管庫にはずらりと並んだ中級HPポーション達。
性能はもちろん一般の五割り増し。
研究所の所長曰く、下手をすると一般の上級HPポーションより性能あるかもとのこと。
そんな私の作るおかしな性能のポーションの原因を探るため、ジュードと二人、日夜検証を続けた。
でも一向に原因がわからなくて、終いには他の研究員まで検証に加わることに。
色々な角度から検証をとのことで、作成経過を検証する者、ポーション自体を検証する者などに分かれて検証を行ったのだが、その間、私は只管ポーションを作り続けた。
一日中。
あれはいつだったか、その日150本目の下級HPポーションを作っていた時だった。
ジュードが言ったのだ、「まだ作れるの?」と。
それに対する私の たる物だから、全然気にならなかったのよね。
そこでジュードに、製薬中に魔力を注いでいないんじゃないかとか色々言われたけど、MPはしっかり減ってるし、そもそも魔力を注がなければ、ただの薬草を煎じた汁ができあがるだけ。
結局、所長の「性能が上がる方の研究を優先しろ」との声で、私はポーション作成の日々に戻った訳だが、少々調子に乗り過ぎたらしい。
研究に使うよりも私が作るポーションの方が多くて、余るようになった。
市場に卸せばいい金額になるのだが、如何せん性能が一般の1.5倍で、このまま卸すと問題になるということで、研究所には現在素敵な量のポーションがある。
「また沢山作って。所長に怒られるよ」
「集中して作ってたら本数を数えるの忘れてたのよね」
嘘です。
早く文句を言われずに上級HPポーションを作れるようになりたくて、レベル上げをしていただけです。
薬草は薬草園の物を使っているので、この間、薬草園の薬草が少なくなって来たって所長に文句言われたのよね。
怒られるのは嫌なので、今日作ったポーションは自室に隠すかと思い、今日作った分を保管庫から取り出しているとバタンと大きな音がして研究室のドアが開いた。
後ろを振り返ると息を乱した兵士が「所長は?」と大きな声で叫びながら、研究室に飛び込んできた。
所長室のドアを指差すと、大慌てで所長室に向かう。
一体何があったんだろう?
暫くすると兵士と所長が所長室から出てきた。
「緊急事態だ、今ある回復系のポーションを集めろ」
「何があったんですか?」
「第三騎士団がゴーシュの森から戻ってきたんだが、サラマンダー から全てのポーションを取り出し終わり、その後、部屋に置いてある上級HPポーションの事を思い出したので、取りに行った。
部屋から戻ると、研究所のポーションを集め終わったらしく、ドアの外に来ていた荷馬車にポーションを積み込み終わったところだった。
「何人か一緒に来い」
所長の指示で、入り口近くにいた研究員が荷馬車に乗り込む。
私が走って荷台に乗り込んだところで、馬車が走り出した。
「ねぇ、ゴーシュの森って竜なんて出るの?」
「竜?いや、出ないよ」
「サラマンダーって火竜の事じゃないの?」
「ん?サラマンダーはただの火を噴く蜥蜴とかげだろ」
一緒に来たジュードにサラマンダーについて質問すると、予想外の答えが返ってきた。
サラマンダーって竜じゃなかったんだ……。
脳内イメージでは火竜だったのに……。
「蜥蜴なのに、そんなに被害が出るって……」
「蜥蜴って言っても大きいからね。その癖すばやい。竜種ではないとは言え、ランク的には上位に入る魔物だよ」
「そう」
サラマンダーの脳内イメージが体長10メ
普段は広間として使われている部屋には、多くの負傷者が寝ており、彼等の間を医者や看護師と思われる人間が走り回っていた。
部屋には怪我や、サラマンダーの火による火傷によって呻く負傷者達の声が溢れ、医師の「ポーションはまだか!」という叫び声が響く。
先程まで暢気に構えていた頭は冷え、呆然と立ち尽くしていると、先頭に立っていた はいないのかっ?」
「回復魔法でも4レベル以上でないと……」
「聖女様はどうした?あの方は4レベルの回復魔法が使えるんだろう?」
「それがカイル殿下が、この様な惨い場面を聖女様にお見せできないと……」
「何だとっ!」
カイルって、確か第一王子の名前、あの将来禿げそうな赤髪君よね。
確かに重症患者の患部をモザイクなしで見るのは、とてもきつい。
スプラッターに割と耐性があると自負する私でも直視がきつくてなるべく見ないようにしながらポーションを配ったのだ、あのゆるふわ愛良ちゃんでは見た瞬間に気を失うかもしれない。
愛良ちゃんが来れないことを説明する文官らしき人物に食って掛かっている騎士は、患者の友人だろうか?
人垣のせいで患者が見えないため判断は付かないが、上級HPポーションでも持ち直すのが難しいほどの重症の様だった。
人垣を見渡すと所長がいたので傍に行くと、気付いた所長に声をかけられた。
「セイ、上級HPポーションは残ってないか?」
「ああ、それなら「団長!」」
声をした方を向くと、医師や看護婦が慌しく動き出した。
患者の容態が急変したらしい。
私も人を掻き分け、患者の傍に行く。
近くで見る患者は右上半身が焼け焦げ、彼方此方に様々な傷があり、生きているのが 人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はパソコン対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい こちらでございます」
王宮の奥深く、国王の執務室で、宮廷魔道師団、副師団長であるエアハルト・ホークは国王の目の前に黒いビロードが張ら
れたトレーを差し出した。トレーに置かれているのは、1
センチを超える大きさのダイヤモンド。過日、セイが状態異常無
効、魔法抵抗上昇、物理防御上昇の効果を付与したものだ。目の前に置かれた魔法付与された核に、国王の隣に立つ、いつもは感情
を表に出さない宰相の喉がごくりと鳴る。
権謀術数に長ける宰相が、己の本心をうっかり表に出してしまったのも無理は無い。セイが作り出した核は、本来であれば
古代の遺跡の奥深くからの出土か、魔物の討伐によってでしか手に入らない代物である。魔物の討伐では、魔物を倒した後に稀に魔法付与がされた道具が魔物から出て
くることがあり、魔物の強さに比例して良い物が出てくる。そして、
セイの作った核と同様の効果を持つ物だと、一匹の討伐に全騎士団が必要
となるレベルの魔物からでないと出てこない。正に、伝説級の代物である。実際、似たような効果のある物は数
点、国宝にもなっている。もちろん、この数十年で集められた物ではなく、数百年という年月をかけて集められた
物であり、それ
だけの年月をかけても数点しか見つからなかった代物でもある。国王と宰相の
目の前に置
かれた核は、その様な代物で、宝物庫に厳重に保管されている物以外で目にするのは、お互い初めてであった。
「なるほど。お前達が人 エアハルトと、薬用植物研究所の所長であるヨハンから内密に報告したいことがあるという連絡を受け、用意された場には、当事者のエアハルトとヨハン以外には国王と宰相しかいない。既に宮廷魔道師団で大っぴらに魔法付与を行 エアハルトと、薬用植物
研究所の所長であるヨハンから内密に報告したいことがあるという連絡
を受け、用意された場には
、当事者のエアハルト
とヨハン以外には国王と宰相
しかいない。既に宮廷魔道師団で大っぴらに魔法付与を行 川中 真まこと、26歳。
現在、異様に可愛い制服を着用し、異様に整備された中庭で途方に暮れています。
この景色は知っている。なのに私は混乱していた。何故なら、この景色は現実にあってはならない景色だからだ。
異様に派手で大きな噴水、季節を問わず咲き誇る花々。道の一遍まで綺麗に整備され、高級ホテル顔負けの美しさを保った中庭。これまたホテルを思わせる美しい建物は校舎だ。
呆然と立ち尽くしている私の恰好は、万人が着るはずなのに着る人を選
ぶタイプの制服。可愛らしい膝上のチェックのスカートに、何故か丈の短いジャケット、裾の長いシャツにこじゃれたタイ。色合いも、普段では絶対選ばない明るめの組み合わせ。足元
は、何故かブーツにニーハイ。
足が太い、腰が太い、肩が張っている、二の腕が太い。女の子が万年抱える体型の悩
みに真っ向から喧嘩を売ってくるタイプの服装だ。当然私もそこに入る。やばい、心なしかぱつぱつな気がする。ちょっと肩が動かしにくい。
噴水を覗き込んで自分の様子を確認してへこむ。でも、はっと気づいても
う一度噴水を覗き込む。なんか水底までキラキラ綺麗だけれど、今確認しなければならないのはそこじゃない。
「これ、高校生くらいの時の………… 覗き込んで自分の様子を確認してへこむ。でも、はっと気づいてもう一度噴水を覗き込む。なんか水底までキラキラ綺麗だけれど、今確認しなければならないのはそこじゃない。
「これ、高校生くらいの時の…………」
若返ってる。物凄く変わったわけではないけれど、心なしかあちこち幼い。毎日見ていると気づかないものだけど、やっぱり違うんだな。お肌ぺかぺか! 顔つき平凡!
変わらないものは変わらない。
再度落ち込んでいると 、週末帰るよー。え? 分かってる分かってる。分かってますって」
会社の休憩時間を見計らってかかってきたのは、妹からの電話だった。お昼ご飯を食べて柚子蜂蜜を飲んでいた私は、テレビを見ている人の邪魔にならないよう席を移動する。隅っこを探すと、観葉植物がででんと置いている辺りが空いているようだ。
低いヒールを鳴らしながら、零さないように気をつけて空いている机に柚子蜂蜜を置く。
「ん? 聞いてるよぉふっ!?」
誰もいないと思っていたテーブルには先客がいた。
彼の名前は、真山薫。部署が違う先輩で、話したことは一度もない。
直接の関わりはないけれど、彼は名前と同じくらい顔が綺麗なのでちょっとした っていうゲーム買って帰ったらいいんでしょ? 妹の誕生日プレゼントだからね、忘れないってば! はい! 忘れず買
って帰ります! え!? 【私立白椿学園】と間違えるな!? そっち
は特殊!? ふ!? ふって何!? お麩!? あ、お母さんにお麩の煮つけ食
べたいって言っといて! 分かった、分かりましたってば! もう切るね!?」
女子高生の妹は、今月発売された漫画とゲームが多かったらしくピンチなのだ。
必死な妹の電話をぶち切り、柚子蜂蜜を一気飲みする。よし、立ち去ろう!
すっくと立ち上がった私の手を、すらっと長い指ががしりと掴む。
「か、川中!」
「は、はい!?」
まさかこっちの名前を知っているとは思わなかった。
へっぴり腰で下がろうとする私の手を両手で掴み直し、真山先輩はテーブルを乗り越えんばかりに身を乗り出した。
「俺と付き合ってくれ!」
休憩室にいた人々が揃って落とした飲み物掃除で、本日の昼休憩は少し伸びた。 先輩も、妹さんから【私立青薔薇学園】のゲームをリクエストされたのだという。しかも店頭販売特典のポスターが欲しいから、ちゃんとお店まで買いに行くようにとのお達しだ。
成人男性が買うにはかなり厳しいパッケージ。更に店頭でと言い渡された先輩は、ああして暗雲漂わせていたという訳だ。
勤務後、自分の分を買うついでに先輩のも買って渡したら、物凄く感謝された。
お礼に週明けご飯奢ってくれる約束だ。デートなんて大それたものじゃないし、お付き合いできるなんて夢を持つには少々大人になりすぎた。それでもやっぱり浮かれてしまう。
綺麗な先輩を鑑賞しながらご飯。あ、まずい。変な事ばっかり口走りそうだ。
「お姉ちゃん、寝ちゃったの?」
少し遠くで妹の声がする。起きてるよと答えようとしたのに、口は開かない。
「疲れてるのかな…………付き合わせてごめんね?」
しょんぼりした声に、そんなことないよと答えたい。だけど妹の声はどんどん遠ざかっていく。
ふんわりとしたストールがかけられた感触を最後に、私の意識は柔らかい闇に沈んだ。 >>97
このスレにのみこうまで強く入れこむのは不自然
最近常連になったんかな?笑 >>64
ありがとうございます!試してみます
>>70
一回ミドルの感覚掴んだのですが忘れてしまってますね、、wwやはり下から声がいくイメージは大切なんですねぇ、アドバイスありがとうございます!やってみます 荒し行為そのものよりも自分の行動は正当化されて然るべきだと主張する>>97のレスに戦慄したわ
もし本気で言っているのなら実社会で支障をきたす前に一度病院へ行って調べてもらった方が良い
煽りとかでは無くマジで 本気だろこんなこと言ってるんだから
362: 選曲してください [] 2017/12/20(水) 11:02:11.31 ID:rKVBQODC
俺もこのスレもこのスレの人たちも基本好きなんで正直心苦しいですが花子がレスするたび荒らします
ただ花子がレスしてるとしても
「こちらに花子と気付かせないような痛くないレス」なら荒らしません
必死調べて特定してまで荒らしたりはしません
ただ気づいたら何度でもまた荒らします
回を重ねるごとに荒らしのレス数も増やしますね
よろしく
http://lavender.5ch.net/test/read.cgi/karaok/1512407650/362 >>71
ヘブン聴いてみましたー。
この曲かー、これ系歌ったことないから練習してみます、ありがとうございました! >>57
月光ってクラシックかな?
イントロからカッコイイよな〜
昨日見つけたのが「ひだ」みたいな感じでガナリを鳴らすとことほぼ同じとこなんよね
だからめっちゃやりやすいしナチュラルな感じに鳴らせるようになったわ
Eagle flyFreeはほんまAメロきついw
ヘッドまでこのひだのまま行けるからほんまええ感じ♪
sukekiyoのVo聴いたときに感じたひだに近いんかな
>>58
ゴメン、オレのスマホやとこのサイトのん聴かれへんねん;
またPCで聴いてみる〜
>>59
今は奥の部屋は全然使ってないww
ウィスパー出すところのちょっと奥にひだみたいなん見つけてそこやね
ほぼ声帯のとこなんかなー
>>69
張り上げてる曲でやったほうが分かり易いかと思ってw
小声やと思った通り声が出なかったりやから当然音程も不安定になっちゃうな;
>>70
ありがとう♪
色々試すのは大事なことやと思うね
元々仕事とかでも常にもっと効率的なやり方ないかなーって考えてるタイプやねんw
昔からのツレには、またスゲー発声見つけてん!っ言ったら、またかよって呆れられてるけどなww 和尚様、ひだがめっちゃ気になるので良ければ図解で場所教えてください! >>168
早速ありがとうございます!
微妙に鳥山明な画風ですねw
なるほどここかー...って実際感じないことにはわかりそうもないですね。。。
喉周りはなるべく意識しないようにしてたけど、ここらへん今日試してみよう。 >>169
そうそう、小さいときよく書いててん
悟空とドラえもんは書けるww
かなりハイトーンのヘッドを出すときの感覚に近いかな
閉鎖緩めたらすぐ裏声になっちゃうぐらいな >>171
え、これが仮声帯?
んじゃガナリとおんなじとこでクリーンな声も出してるってことなんかな?
>>58
聴いたで〜
ん〜、所謂喉声ってやつかな
中々大変そうやな、どっからやっていったらいいんやろ。。。
ヘッドを見つけるか、ひたすらウィスパーで攻めてみるか
ウィスパーでやってるととにかく息がいっぱい必要になるから、オレが言うてた「風船」の状態に自然になると思うねんけどなb >>172
位置と作用的にそうかと思います
声帯の上にあるヒダ状のものは前庭ヒダと披裂喉頭蓋ヒダだけですが後者を積極的に使う発声を私は聞いたことがないので
ガナリを出す部分とはっきり区別できるなら後者の可能性もありますがその場合かなり詰まった音になるはずですから可能性は低いかと
仮声帯にはそれ自体が振動してノイズを鳴らす役割と呼気の圧力を受け止める役割があるのでクリーンとガナリの両方で使われますね
声帯はその図と同じ様な形をしていて息の流れに逆らい辛い形なのですが
仮声帯は上下逆についていて流れだす息をせき止めるのに都合のいい形をしています
呼気で押し出さずに声量を出すためには必須なのではないでしょうか >>173
ほー、なるほど、詳しいねぇ
発声的にはどうなんかな?良い感じ? 発声とかよく分かんない。最近はストローを吸い込んで12秒くらい息を吐き出す事が出来れば歌うようにしているよ。最初に始めた頃は7秒しか続かなかったよ。 >>174
仮声帯はうまく使えないと逆に喉に負担がかかることもあるのですがそんな気配も一切ないですし
むしろ呼気の不要な圧力が取り除かれた解放感のある発声に感じました
現状で不安定な部分もこのまま練度が上がれば解消されるのではないかと
パワーメタル系のボーカルとしてはお手本のような発声だと思います
私もこんなハイトーンを出してみたいものですね >>176
お〜、嬉しいな〜♪
ありがとう!
忘れないうちにまた歌いに行こうw こんばんは〜。
新しくのびたのスレ作ったの。そんで前のスレをぶっ潰したいから暇つぶしに遊びにきてー。
話す内容は何でもいいよー。宣伝でしたー。 >>172
わざわざPCから聞いていただきありがとうございます!
喉声というのは低いところからすでに起こっているでしょうか、、中高音はなかなか安定しないですね、、どうしても張り癖の名残が出てしまいます
全体的にウィスパーで攻めて見たほうがいいですかねぇ、、
アドバイスありがとうございます >>179
もう1回聴いてみたけど低音はまぁ大丈夫じゃない?
ってか、低音から喉声やったら相当ヤバイっしょw
サビの高音に上がるとこまではウィスパーっぽくやってんねんね
そっからなんよな〜、ウィスパーじゃなくなるけどウィスパー出してた感覚のまま出す感じ
喉周辺の力みは増やさず息の量を増やす感じ
難しいけどな; 頑張ってやってみてw
あと、ヘッドは出来る?
これが出来てないと土台が出来てなくて無理なんかも。。。
もっと言うとヘッドをミドルに混ぜれてる状態かな
そこに繋がるような気がするな
ここまでが既に難関やな; >>181
以前よりチェストは強くなってる感じだけど、もっとしっかり喉奥を広げて口内に大きく空間作るようにしてもっとブレスを押し込めば数段良くなる
現状アクビ喉ができてないのでまずはそこから改善が必要かな
正しいフォームを身に付ければ
今よりもっと楽に喉に負担かからず歌えるようになるから
とにかく喉を大きく開く事を中心に頑張れ 聴き心地がよくて太くていい喉してるんだよな
ぬくもり感もある >>180
無意識なのでどこから力入ってるかわからなくてww
ウィスパーの感覚は脱力には大事なんですかね、、やってみます!
かなり裏声に近いヘッドなら出来ますが、、混ぜるとなるとなかなか難しそうですねwwまたいろいろ試してみます
アドバイスありがとうございます! >>182
む、難しい。
まずはアクビ喉なんですね。専門用語あまり分からないので検索して研究してみます(>_<)
ありがとうございました。 >>186
ありがとうございます。個人的には地声はあまり好きではなかったので誉められると嬉しいです。 >>185
喉さえ開けば今よりも数倍良い声になる
実際アクビ喉ができてる人は10人に一人も居ない
アクビ喉さえできれば響きも増大され、色んな声を操れるようになるので歌唱力が上がる
音程やリズム感はまた個別でトレーニングが必要だが、まずは芯の有る歌声から作るのが先だな >>190
ありがとう!
あさみさんはほんま色んな声色出せるねんな〜
エアロスミスのときはどうやって出してた?
あさみさんもひだを感じるな >>191
エアロはガラガラをイメージして
発声していますよ〜〜
ガラガラにも色々なパターンがあると思います、カラカラとかギシギシとか^_^ 息漏れが強い裏声出し続けてれば声帯周辺の筋肉は柔らかくなりますか? >>192
ガラガラってガナリのこと?
カラカラ、ギシギシは難しそうやな〜;
>>193
息漏れが多い裏声ってYUBAさんのホーホー的なやつかな?
声帯周辺の筋肉が柔らかくなるかはわからんけど、ホーホーの感覚のまま閉鎖した声出せればめっちゃ良いと思うb
まぁ、YUBAさんもそれが狙いなんやろうけど
今日は夜勤がめっちゃ早く終わったから朝から酔っぱらいカラオケ♪
忘れんうちに〜と思って行ってきたw
ガナリやらヒーカップやらやりたい事無理やり詰め込み過ぎたww
いやしかし、見つけた「ひだ」で歌うのが気持ち良すぎるw
↓酔っぱらいでグダグダやけど
エアロスミス − I Don't Want To Miss A Thing
http://fast-uploader.com/file/7073627685027/
↓このひだで低音もめっちゃ出しやすかったわ
寺尾聰 − ルビーの指環
http://fast-uploader.com/file/7073628086671/
↓これめっちゃ下手くそやねんけど、高音に行くときにやろうとしてるのがわかりやすいかな〜と思って
この曲覚えにくいわ〜;
何回か聴きながら歌ったんやけどアカンかった、うろ覚えでゴメンw
Sukekiyo − 艶
http://fast-uploader.com/file/7073628285531/ あーあ今日の分の音源全部間違って消しちゃったよショック・・
録音始めてから一回ものがさずitunesに登録してきたのに >>195
あ、そうなんや、ゴメン;
さすがやね、それが良いb
>>196
オレもやったことあるわぁ、ショックやな
今日良い感じやったのに〜やったらなおさら; >>194
なるほど!ホーホーまたやってみますね!ありがとうございます 喉締めが治らないから息少なめにして響かせる練習してるけど難しい
喉締め治すにはどうしたらいいんだろうな >>199
ワシ的には舌の位置がかなり重要な気がするで!歌唱中に舌の根元が持ち上がっていないかチェックしながら歌うとええで! ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています