その本を両手に抱えた俺は、カルストンライトオのスタートダッシュよりも速い出脚で、文字通り“一直線”に店奥のレジ台に向かった

俺は、人生マックスレベルの興奮度、テンションの高さを持って、『これ下さい!!』と店主の親父に向かって叫んだ
親父は、この小狭くて小汚い自らが経営する古本屋の店内で場違いに大声で叫んでいるこの俺の顔を
一瞬 “ギョロッ” と睨む様な目つきをしたが、「はい、どうも〜」と言って会計に入った

この時、初めて俺は気が付いたのであるが、その本には値札が付いていなかった
親父も値札を確認したが、「あれ?・・」と言いいながら値札がついていないのがわかると、
その本の外見、内見の状態を時間にして5.7秒くらい確認してから、「これ、○○円ね」と言った

その金額を聞いたこの俺は、この日2度目の大衝撃を受けた
同時に、心の中でこう叫んだ 『ちょっ、おまっ、そんなに安くていいのかよWWWWW』

余談だが、この本の正規の流通価格は、どんなルートからどんなに安く購入出来たとしても
千円台で買えるということなどは絶対にない
そもそも、現在インターネットですら手に入らない本なのだから・・・