諸国遊歴の途中、宿を頼んでいた知己宅にて、その家の少年に「兵法はどのような心得で修業すれば上手になれますか」と問われた場面です。(言葉は現代風にアレンジしてあります)

武蔵:「あの敷居の上を歩けるかな?」
少年:「歩けます」
武蔵:「一間(約1.8m)ほど上へ吊り上げたら?」
少年:「ちょっと怖いですね」
武蔵:「敷居の幅を3尺(約1m)にすれば?」
少年:「渡れます」
武蔵:「それを『見切り』というのだよ。自分が、これならば自分の手に合うという判断の範囲が『見切り』なのだ」