友道厩舎の近くまで行き、その姿をじっくりと観察した。視線の先にはビーチサンバ。
デビュー2戦目のアルテミスSで2着に入った素質馬だ。追い切り翌日とあって、この日はひき運動のメニューだったが、隙がないというか何というか…。
私の前を通るたびにひとにらみ、ふたにらみ。その気の強さがレースで生きているのだろう。

 ビーチは母が重賞4勝、GI2着3回のフサイチエアデールで、全兄は朝日杯FSを勝ったフサイチリシャールという良血。
今回、初コンビを組む福永騎手は、その母、兄に騎乗したことがあり、1週前追い切りの感触を踏まえ、比較してもらった。

 「兄に似ていて、パワーがある。少し気難しさはあるけれど、走れば変なことはしない。母もバランスが良くて乗りやすかった。軽すぎず、力強さがある感じ」

 鞍上はこの母系の長所を熟知。「初戦みたいな競馬がいいかも。長くいい脚が使える印象。リシャールも2、3番手から押し切るスタイルだった」。
未勝利から4連勝で2歳王者に君臨した兄と重ね、レースでのイメージを膨らませた。

 2着だったアルテミスSはハイペースを早めに抜け出す形になった結果。
むしろ、2戦目でこれだけの走りができたことが、改めて血の良さ、能力の高さを物語る。
担当の島助手は「最初に、走る馬の皮膚の良さを感じた。今は寒くなって冬毛が出ているけれど、中身はしっかりしてきている」。
かつてダービー馬ウイニングチケットを担当した腕利きが、素質に太鼓判を押した。

 ただ、同じ厩舎にも強いライバルがいる。新馬−サフラン賞を連勝中のレッドアネモスだ。
デビュー前から調教の動きがピカイチでずっと注目していた。
担当の杉村助手は「とにかくエネルギッシュ。パワーなど能力をコントロールできれば、かなり走れると思う。うまく持っていければモンスター級になるかも」と手応え十分。
6分の3の抽選を突破した運があるサヴォワールエメも含め、友道厩舎の3頭から目が離せない。(板津雄志)


モンスター級・・・