朝日新聞記者の「北朝鮮の拉致疑惑は証拠もないのにあんなに盛り上がって
しまったんですね」という問いかけに対して、阿南局長は「拉致疑惑には、
亡命者の証言以外に証拠がないわけなんですから慎重に考えないといけないんですね。
韓国の裁判で証言があるといったって、韓国に捕まった工作員だから、彼らは何を
言うかわからない」。さらに「警察白書に七件十人という
書き方もされているが」という質問に「この間、議員に『拉致疑惑』と言うけれども
、『疑惑』とは何ごとか、と怒られました。『疑惑』をとって『拉致事件』と言えと」と答えている。
 阿南氏は日本の警察の発表すら信じず、拉致事件そのものが疑わしいと言っている
のである。北朝鮮外交の実務責任者がこれでは北朝鮮に拉致問題をただすことなど
不可能である。この阿南氏の後任が槇田邦彦・現シンガポール大使である。槇田局長は平成十一年十二月
の自民党外交部会でこう述べている。
 「たった十人のことで日朝正常化交渉がとまっていいのか。拉致にこだわり国交正常化
がうまくいかないのは国益に反する」まさに、拉致問題は棚上げすべきだというのである。
その後、拉致被害者救出運動が盛り上がってくると、槇田氏は拉致は棚上げではないと言い始める。

日本政策研究センター