平昌五輪閉幕 開催国の振る舞いが問われた
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20180225-OYT1T50098.html

 平昌冬季五輪が閉幕した。大きなトラブルがなく、日程を消化できたことは何よりだ。

 開催国の韓国と、核・ミサイル開発に固執する北朝鮮が、最後まで政治利用した異例の大会だった。

 閉会式に金正恩政権は、金英哲・朝鮮労働党副委員長を送り込んだ。韓国と米国の独自制裁の対象となっている人物だ。
韓国海軍哨戒艦撃沈を主導したとされる。挑発的な人選だと言えよう。

 米国は、イバンカ・トランプ大統領補佐官らを派遣した。

 競技にも地域情勢が影を落とした。文在寅政権が融和演出の切り札としたアイスホッケー女子の
南北合同チームは1勝もできず、最下位に終わった。韓国の競技関係者の間に、政治介入への不満が
くすぶり続けたのは無理もない。

 北朝鮮の女性応援団は、周囲にはばかることなく、歌い踊った。独裁体制の異様さを一般の観衆に印象付けたことだろう。

 平昌五輪の開催が決まった2011年、当時の李明博大統領は「一流の先進国となる良い契機だ」と胸を張った。
仁川国際空港と、開発の波に乗り遅れた平昌周辺を結ぶ高速鉄道が新設されたが、今後、経営が立ち行くのか。

 五輪開催に名乗りを上げる都市が減少している。特に、コース整備費などがかさむ冬季五輪の将来には暗雲が立ちこめる。

 危機感を強める国際オリンピック委員会(IOC)にとって、国を挙げて冬季五輪を招致した韓国は貴重な存在だった。

 他国との公平性を損ねてまで、IOCが南北合同チームの結成などを容認したことは、韓国に対する配慮だと受け取れる。
平昌五輪は、IOCと五輪開催国の関係の在り方に課題を残した。

(続く)