文在寅で進む韓国の「ベネズエラ化」、反米派と親米派の対立で遂に始まる“最終戦争”
2019年2月12日掲載
文/鈴置高史

 米韓同盟が音もなく崩れ始めた。韓国人の過半が
「米国に支払う経費負担を増すぐらいなら、在韓米軍に出て行ってもらったほうがいい」
と言い出したのだ。

 在韓米軍の駐留経費――韓国版「思いやり予算」を巡る米韓の交渉が暗礁に乗り上げた
1月25日。世論調査会社のリアルメーターが「韓国側の分担経費の増額に応じない限り、
在韓米軍を削減・撤収する」と米国が言ってきた場合、増額すべきか――と
韓国人に聞いた。

 すると52.0%が「在韓米軍が削減・撤収しようとも増額には反対」と答えた。
「賛成」が30.7%、「分からない・無応答」が17.3%だった。

 この世論調査の1か月ほど前の2018年12月28日。ハリー・ハリス駐韓米国大使が
青瓦台(大統領官邸)を訪れ、鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安全保障室長に対し
「米韓相互防衛条約を他の方式で履行する案も検討可能だ」と語った。

 要は「要求を飲まないのなら今後、在韓米軍は頼りにするな」と脅していたのだ。
世論調査の結果は「売り言葉」に対する「買い言葉」の形で思わず漏れた、
韓国人の本音だった。

 5割以上の韓国人が「米軍が出て行ってもいい」と言うようになったのは、
北朝鮮との緊張緩和が原因だ。2018年6月にトランプ米大統領と
金正恩(キム・ジョンウン)委員長がシンガポールで会談した。

 それ以降、韓国には「戦争の可能性が大いに減った」との安堵感が広がり、
左派からは「戦争が遠のいた以上、在韓米軍は不要だ」
「北朝鮮を刺激する米軍がいないほうが平和になる」との声が高まった。