文政権、「未来志向」に逆行=日韓改善、めど立たず−10日で発足2年
時事通信 5/9(木) 7:09配信

 【ソウル時事】2017年5月、韓国で革新系の文在寅政権が発足してから10日で2年。

 この間、文政権は「最終的かつ不可逆的な解決」をうたった
慰安婦問題をめぐる日韓政府間合意を事実上、無効にした。
さらに、日本企業に元徴用工への賠償を命じた韓国最高裁判決への対応を先送り。
表向きは「未来志向の関係構築」を目標に掲げながら、
逆行するような動きが続いており、日韓関係改善のめどは立たない。

 「予想以上に現実的だ」。文政権発足直後、日本政府関係者は胸をなでおろした。
文氏は慰安婦合意の再交渉を公約に掲げたが、大統領就任後は
「大多数の国民が受け入れていない」と述べながらも、再交渉は口にしなかった。
歴史問題と、北朝鮮を念頭に置いた安保協力などを分けて対応する
「ツートラック(2路線)」政策を打ち出したこともあり、
外交関係者の間では安堵感が広がった。

 しかし、期待は打ち砕かれた。
康京和外相直属の作業部会が慰安婦合意の交渉過程を検証し、
「被害者の意見集約を欠いた」と批判する報告書を発表。
文氏は「合意は手続き的にも内容的にも重大な欠陥がある」と指摘し、
「問題を解決できない」と断言した。合意に基づき創設され、
日本政府が10億円を拠出した「和解・癒やし財団」は解散に追い込まれた。

 徴用工判決への対応でも、05年に当時の盧武鉉政権が、
日韓の請求権問題の解決を明記した1965年の請求権協定に「徴用工問題も含まれる」
との立場を示したことから、盧氏の元側近の文氏が見解を踏襲するとの
楽観的な見方があった。しかし、文氏は「三権分立」を盾に不介入の立場を堅持。
具体的な対応策を打ち出さず、その間に原告側は差し押さえた日本企業の資産の現金化に
着手した。

 6月に大阪で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議や、
10月の天皇陛下即位の祝賀行事に合わせ、文氏の訪日が見込まれる。
日韓外交当局はこうした機会を関係修復のきっかけにしたい考えだ。
両国の国会議員からも側面支援を模索する動きが出ているが、
改善に向かうかは不透明だ。 

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