>>682

韓国に残る日本由来の制度、文化

韓国においては、既にずいぶん前から「日本残滓を清算しよう」という運動が行われてきた。
日本の残滓とは日本統治期(1910-1945)に朝鮮半島に導入された日本式制度、言語、風習、
文化のうち、終戦後にも韓国に残り韓国人の生活に大きな影響を与えてきたものをいう。

別の言葉で表現するのであれば(それが肯定的なものであれ、否定的なものであれ)
日本統治時代の「遺産」ともいえる。日本残滓清算運動とは、これらを排斥しようという
一種の反日民族主義的な性格の運動である。

確かに、日本式文化は終戦以降にも韓国に根深く残り、韓国人の生活のみならず思考にも
大きな影響を与えてきた。例えば、行政、教育、経済、軍事、産業などの現場において
今なお使用されている用語の大部分は日本から入ってきた用語を韓国語読みにしたもので
あり、あるいは日本語の発音そのままに使用されているものもある。

例えば、「満タン」や「飯場」、「傷(韓国ではギス)」などは日常生活でも頻繁に
使われる言葉である。言葉だけではなく、衣食住においてはもちろん、芸術や娯楽、
さらには、職場や学校内での上下関係といった人間関係においてまで、
日本文化の影響はもはやどうしようもないほどに大きい。

はっきり言っておくが、これは韓国人が日本風、日本式のものに憧れたり、
好んだ結果ではない。朝鮮の近代化と日本の朝鮮統治が同時期に起こったからだ。
近代化の産物である法、社会制度、学問、技術、文化が日本を通じて導入されることに
なったのだ。仮に、朝鮮における近代化という大きな変革の波が
米国によって朝鮮半島にもたらされていたのなら、
韓国には米国式の制度や言葉、風習などがしっかりと根付いていたことだろう。

終戦後日本人が引き上げ、韓国内で反日感情が一斉に爆発した時期、
日本式の制度、文化を利用し、享受することは社会的な非難を受けるようになった。
「日本統治時代が懐かしいのか?」といったような感情的な批判がなされ、
日本が残した遺産は即ち「罪悪」と見られるようになったのだ。

やがて日本統治時代の遺産は無条件に「清算」の対象になった。それらの中は韓国人の
嗜好や好みに合い、多くの国民が自ら好んで行っていたものごとも含まれていた。

私の近著 『韓国「反日フェイク」の病理学』で詳しく述べたが、例えば韓国で
「国民的遊び」と言われてきた花札、春ともなれば家族や友達と桜の下に集う花見、
飲み屋で多くの大人たちに愛唱されてきた演歌風の歌、日本料理、などである。
これらは多くの韓国人が楽しんできた遊びであり、趣味であり、楽しみそのもので
あったのにも関わらず、それらを楽しむことが社会的批判の対象となった。

その批判のために使われるようになったレッテルこそが「親日派」という言葉だ。
日本の文化を楽しむことは親日派たちがやることであり、
親日派は批判を受けて当然である、というのが当時の雰囲気であった。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/64493