一九七四年一一月に発表された「ロックフェラー家の富に関する米国議員のための報告書」によれば、
アメリカのロックフェラー一族が管理する財産は、当時の推定だけでも六四○○億ドル
(一九七一年末の一ドル三〇八円というレートで換算すると一九七兆一二〇〇億円)を超え、

アメリカの十大産業のうち六社、十大銀行のうち六行、十大保険会社のうち六社を含む二○○以上の多国籍企業を支配している。
エクソン、GM、フォード、クライスラー、GE、IBM、テキサコ、スタンダード・オイル、USスチール、ベンディクス、
GF、プルデンシャル、ファースト・ナショナル・シティ銀行やチェース・マンハッタン銀行など、
世界に冠たる世界企業のほとんどは、アメリカの最大の富豪ロックフェラー一族によって直接、または間接的に支配されている。

その途方もない富は、今から一〇年前、すでにアメリカの国民総生産の五○%を超え、
今日の日本の国民総生産に匹敵する規模をもち、人口一〇億を誇る中国が
ようやく現在達成しようとしている国民総生産の二倍にも及んでいるのだ。

その後、国際商工会議所のジャド・ポークは、今世紀の終りまでに二〇〇ないし三○○の多国籍企業が四兆ドル
(約一〇〇〇兆円)の資産を所有し、全世界の富の五〇%以上を支配するだろうと計算したが、
今後の世界情勢に大きな変化がない限り、やがてロックフェラー一族は
多国籍企業の富の大部分を手に入れ、日本株式会社の吸収に乗り出すだろう。

国連の公式発表によれば、一九八〇年に日本は世界の富の九分の一(一兆二〇〇〇億ドル)を生産し、
アメリカ(二兆六〇〇〇億ドル)およびEC諸国(二兆七〇〇〇億ドル)それぞれの二分の一の経済規模に達した。

しかしひとたび日本の富を生み出した背景を考えてみると、われわれは石油その他のエネルギー資源のほぼ一〇〇%、
食料の七〇%を海外に依存している。そして、石油と食糧の約五〇%はアメリカのメジャーに押さえられ、
間接的にロックフェラーの支配下に置かれていると言っても過言ではない。