ハンJいじめられっ子部
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くそっ。オレはホバーボードの重さに耐えられず、顔をしかめ、脇と手と額にも嫌な汗を掻いている。 ミサを掴む手が震え始め、脇を動かした隙に脇からホバーボードがするりと滑り落ちた。 重力の勢いで、風を切り裂きながら落ちてゆくホバーボード。 回転しながら落ちてゆくホバーボードに、オレはミサの手から片手を離して、ホバーボードに手を伸ばす。 オレは悔しくて歯を食いしばる。ミサ、すまねぇ。お前のホバーボードを手放しちまった。 オレはやるせなくなり、ホバーボードに伸ばし手を垂れて俯く。 諦めるのか? そんな簡単に。ミサの大事なホバーボードなのに。 ミサが好きなネロって名前のホバーボードだろ? ミサのお気に入りなんだろ? 垂れた手を握り締め。瞼を閉じて首を横に振る。いや、まだ終わってねぇ。 ホバーボードに燃料が少し残ってるはずだ。その可能性に賭ける。 どうにかして遠隔操作すれば、ホバーボードを動かせるかもしれねぇ。 小さくなってゆくホバーボードに、オレは手を伸ばす。頼む、動いてくれ。 その間にも眼下に大きな川が近づいてくる。川の流れる轟音が聞こえる。 ぐずぐずしてられねぇ。このポンコツが! さっさと動きやがれ! 今にも川に落ちそうなホバーボードを、オレは黙って睨み据える。 その時、オレの首飾りのクリスタルが眩く青白い光を放つ。 オレは思わず青白い光が眩しくて、顔の前を手で遮る。何が起こった? 眼下のホバーボードが川の水面に近づいた瞬間、ホバーボードが川の水面に浮く。 轟音とともに凄まじい水飛沫がホバーボードの周りに飛び散る。 主の声に応えるようにクリスタルが青白い光を放ちながら、オレとミサの身体がゆっくりとホバーボードに吸い寄せられてゆく。 オレはミサを抱きかかえながら、青白く光るクリスタルを掌に載せて、クリスタルをまじまじと見た。なんだ? 助かったのか? そして、オレがミサをホバーボードの上に乗せようと思った直前。 急にミサのパワーグローブから火花が散って、ミサの身体が鉛りの様に重くなり、オレはミサを手放してしまう。 オレは川に流されまいと、慌ててホバーボードの上に両腕を載せてホバーボードにしがみつく。 オレの下半身がずぶ濡れになり、流されまいと足に力を入れる。 空中爆発で飛んで来た破片で太腿を切った傷口が沁みて、オレは顔をしかめる。 痛みを我慢して、オレは水面上に浮いたホバーボードからミサに手を伸ばす。 オレは吐き捨てるように、ホバーボードの上を拳で思いっきり叩いた。 次の瞬間、ホバーボードは空気が抜けた様な間抜けな音を出し、ホバーボードが川に落ちて派手に水飛沫を上げた。 ホバーボードが川に落ちた瞬間、オレは川の水を飲んだ。 空中爆発で飛んで来た破片で切った腕や頬の傷口が沁みて、オレはまた顔をしかめる。 手当しないとな。そんな思いを裏切るように、オレはホバーボードにしがみついたまま流されてゆく。 ホバーボードを板代わりに、オレはホバーボードにしがみつきながら飲んだ水を吐いて咳き込む。 前髪を掻き上げてミサを見ると、川の流れが早く、ミサがどんどん流されてゆく。 このままじゃ、ミサが溺れ死ぬ。なんとかして助けねぇと。 オレはホバーボードの上で、川の水の冷たさに震えていた。 オレがホバーボードから離れたら、オレまで溺れてしまう。 ミサの数メートル先に、大きな尖がった岩が川から突き出している。 待てよ。ミサがあの岩に引っかかってくれれば、なんとかなりそうだ。 オレは震える手で川の水を手で必死に漕ぎながら、ミサの後ろに位置を調整する。 やがて、ミサは大きな岩に引っかかり、ミサの身体はうつ伏せのまま浮いている。 岩の周りは幸いにも浅瀬せで、川の流れも遅く、オレの腰くらいまで水の高さがある。 オレはミサを支えて肩に担ぎ、川底に足を取られよろけながら、オレはミサをホバーボードの上に載せる。 ミサの生死が気になって、オレは横になったミサの胸に耳を当てる。 鼓動どころか何の音も聞こえない。聞こえるのは自分の鼓動と川の流れる音だけ。 オレはミサの胸から耳を離し、もう一度ミサの胸に耳を当てる。 やっぱり、何も聞こえない。オレはミサの胸から耳を離し、絶望に駆られ俯く。 オレは顔を上げて、ミサの身体を必死に両手で揺らす。 ミサは人形の様にぐったりして横になったまま動かない。 ホバーボードからミサの腕が垂れて、ミサの手が川の水に落ちている。 「くそっ! なんでこんなことになっちまったんだよ!」 オレはやるせなくなり俯く、ミサの足元のホバーボード上を拳で思いっきり叩く。 オレは顔を上げ、うろ覚えでミサの身体を仰向けにし、ミサの唇に自分の唇を重ねようとする。 ミサの白い顔を見て、オレは顔が火照る。なんでオレがミサとキスしなきゃならねぇんだ。 オレはミサの紫色の唇を見て躊躇い、生唾を飲み込み喉を鳴らす。 オレは瞼を閉じて首を横に振る。ミサ、目が覚めたらオレをぶん殴ってくれ。 オレは意を決し、瞼を閉じたまま、ミサとキスして人工呼吸する。 三秒くらいミサと濃厚なキスして、オレは恥ずかしくなり慌ててミサの唇から自分の唇を離して咳き込む。 これでいいのか? オレは口許を手の甲で拭う。次は心臓マッサージだな。 オレはミサを心臓マッサージしようとするが、ホバーボードが不安定で揺れる。 ミサを心臓マッサージしようとすると、今度はホバーボードが沈んでうまくいかない ここじゃダメだ。早く陸に上がらないと。なんとかならねぇのか。 なんとなく、オレはミサの濡れた服に目がいってしまう。 ミサのフレアスカートから覗く生足を見て、オレは思わず生唾を飲み込み喉を鳴らす。 興奮して鼻血が出そうになり、慌てて鼻を押さえてミサから視線を逸らし、気まずくなって人差指で頬を掻く。 人差指で頬を掻きながら、横目で瞬きして、視線を戻しつつミサを見てしまう。 その時、ミサの腰のホルスターに銀色のリボルバー型フックショットが挿してあるのが目に止まった。 銃口の下に掌サイズの球形があり、球形の中にワイヤーが収まっている。 引き金を引くと、三角に尖ったワイヤーの先端が銃口から飛び出す仕組みだ。 フックショットか。こいつで川岸に生えてる樹に刺せば、なんとかなりそうだな。 オレはミサの変なところに目がいかないように瞼を閉じ、瞼を開けないように瞼に力を入れ、ミサの身体を手探りで触ってゆく。 その時、なにか柔らかい物に触れて、オレは思わず瞼を開けた。 なんだ? そう思いながら、オレの左手がミサの胸を掴んでいた。 「ひっ」
オレは情けない悲鳴を上げて、ミサの胸から慌てて手を離す。 ばっちいとばかりに、オレは左手首を必死に振っている。 よ、よし、気を取り直していくぞ。オレは胸を撫で下ろして深呼吸する。 今度は顔を片手で覆い、指の間から片目を開け、ミサの腰のホルスターに挿しているリボルバー型フックショットに手を伸ばす。 ミサが起きやしないかと変に気になりながらも、オレはなんとかリボルバー型フックショットを抜き取った。 調子に乗ったオレはリボルバー型フックショットの引き金に人差指を通してリボルバー型フックショットを回し、鼻頭を人差指で得意げに擦る。 なにやってんだろ、オレは。こうしている間にも、ミサがあぶねぇってのに。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています