ハンJいじめられっ子部
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女は髪が雪の様に白いミディアムヘアで肩に髪がかかるくらい。 整った目鼻立ちで、瞳は吸い込まれそうなサファイアブルー。 耳に蒼い滴の形をした透明なクリスタルのピアスを付けて、風でピアスが小さく揺れている。 服は長袖の青コットンのロリータクラシックドレスで黒いショートブーツを履いている。 女はオレの顔を不思議そうに覗き込み、両手を腰に当てて不気味に歯を見せて笑った。 「うわっ!」
オレは驚いて慌てて上半身を起こす。葉っぱデザインの薄い毛布がオレの上半身からずり落ちる。 どうやら、オレは大きな切り株の上で寝ていたらしい。木の香りがする。振り向くと木の枕がある。 なんだ、この枕。不思議に思い木の枕を人差指で触ってみると、意外にふわふわで柔らかい。 人差指を離すと風船の様にゆっくりと膨らんで面白い。 その時、頭痛がしてオレは顔をしかめて額を手で押さえる。 女は腕の前で両手を組み、勝ち誇ったように仁王立ちして喉の奥で笑っている。 「オーヴに選ばれし者にしては、まだまだ力の使い方がなっておらんの。お前はあれから二時間も気を失っておったんじゃ。無理もないわい」 オレ額を手で押さえて顔をしかめながら女を睨み据える。 女は馬鹿にしたように胸の前で両手を組んだまま、鼻と喉を鳴らして笑う。 「……白いドラゴンか? お前、人間に姿を変えたのか? 冗談だろ」 頭痛が治まり、オレは切り株の上に胡坐をかいて、太ももの上に肘を突いて頬杖を突き鼻で笑う。 「そうじゃ。それより、切り株ベッドの寝心地はどうじゃ? 木の枕も最高じゃろ?」 ふと腕の掠り傷が治っていることに気付き、腕の掠り傷があったところをまじまじと見つめる。 首を傾げて毛布を捲ると、太ももの掠り傷も治っている。 唸りながらシャツを捲って脇腹を見ると、脇腹の傷も治っている。 これも、こいつの力なのか? オレは胸のクリスタルを掌に乗せて、そのままクリスタルを握り締める。 「あの子たちのことじゃが……野営地で頑丈な檻に監禁されておる。警備も厳しい。迂闊には手を出せん」 気まずそうに女はオレから顔を背け、オレに横目で瞬きしながら人差指で頬を掻いている。 ま、まさか、ミサとネロのことか? さっき夢で見た。 拳で切り株ベッドを叩き、オレは歯を食いしばって女を睨み据える。 女は頭の後ろで手を組み、木のテーブルの上に乗っている土鍋に顎をしゃくる。 「それより、腹が減っておるじゃろ? キノコカレー食うか? 美味いぞ?」 女は鼻歌を歌いながらオレの傍までやってきて、オレに微笑んで手を差し伸べる。 オレは女の手を払いのけて女の襟首を掴み、女に顔を近づけて女を睨み据える。 「なんでミサとネロを助けなかった!? お前なら助けられただろ!? ミサとネロはな、オレの大事な幼馴染なんだよ!」 その時、オレのお腹の虫が盛大に鳴り、オレは参ったとばかりに腹を手で押さえる。 女も負けじと胸の前で両手を組んでオレを睨み据え、馬鹿にしたように鼻と喉を鳴らして笑う。 「助けてやったのに、その態度はなかろう? それとも、あのままお前は滝に落ちていたらどうなっていた? 言っておくが、わらわはお前をオーヴの主に認めたわけではない。わらわは、お前がオーヴの持ち主に相応しいか試しておるんじゃ。わかるか? そのオーブは使い方を間違えれば世界が滅ぶ品じゃ」 女は挑発するように腕を組んだまま胸のクリスタルを指さす。 オレは乱暴に女の襟首を掴んだ手を離して、女から顔を背けて舌打ちする。 「腹が減った。キノコカレー食わせろ、美味いんだろ? 聞きたいことが山ほどあるんだ。食ったら聞かせてもらうぞ」 オレは切り株ベッドから立ち上がると、両手をポケットに突っこんで大股で木のテーブルに向かう。 「わかればよろしい。答えられる範囲で答えようぞ。ではでは、キノコカレー召し上がるとよい」 女は小走りでオレを追い越し、木のテーブルに置いてある土鍋の蓋を両手で取り、蓋を引っくり返して木のテーブルの上に置く。 土鍋の蓋が暑かったのか、「あちぃ!」と叫んで、手首を押さえて掌に息を何度も吹き、手首を振ったり手を必死に冷ましている。 土鍋のキノコカレーから湯気が盛大に上がって、美味しそうなキノコカレーの匂いが漂う。 オレは片手の掌を木のテーブルに突いて、キノコカレーの匂いを嗅ぐ。 キノコカレーを見て生唾を飲み込んで喉を鳴らし、口許に垂れた涎を手で拭う。 キノコカレーはジャガイモ、ニンジン、タマネギ、一口サイズの肉? たぶん、これがキノコなんだろ。 さらに挽肉、ナス、トウモロコシ、ルーの上にちょこんと四角いバターが添えられている。 「いただきます!」と、オレは手を合わせて、スプーン置きに置かれた木のスプーンを左手で握る。 まずは気になった一口サイズのキノコを木のスプーンに乗せて食べてみる。 キノコは肉厚で弾力があり、少し甘味がある不思議な味だった。肉の食感に似ている。 オレはキノコを飲み込んだ後、あまりの美味さに呻った。 オレは木のスプーンを忙しなく動かして、キノコカレーを口に運ぶ。 勢いよくキノコカレーを食ったため、ルーを飲み込んだ後に喉を詰まらせ咽る。 「なんじゃ。もっとゆっくり食べんか。ほれ、これを飲め」 女が魔法瓶を取って木のコップにオレンジ色の液体を注いで、オレにオレンジ色の液体が注がれた木のコップを差し出す。 訝しげに首を傾げるも、オレは眉根を寄せて匂いを嗅いでオレンジ色の液体を恐る恐る口に運ぶ。 あまりにも冷たくて美味くて、ごくごくと喉を鳴らして飲み干す。 「ぷは〜! なんだこれ、美味いじゃねぇか! ジュースか?」 オレは口許を手で拭いながら顔を上げて、隣で腰に手を当てて立つ女に訊く。 「リップルの実の果汁ジュースじゃ。フルーティで甘味と少し酸味があって美味いじゃろ?」 女がポケットからなにやら取り出し、掌に乗った小さなみずみずしい桃色の実を自慢げにオレに見せる。 「これがリップルの実じゃ」と言って、小さな桃色の実をオレに突きつける。 オレは女の掌から乱暴に桃色の実を取って、茎を摘まんでまじまじと見つめる。 オレはリップルの実を見ながら感心して頷き、顎に手を当てて擦りながら「なるほど」と呻る。 レス数が950を超えています。1000を超えると書き込みができなくなります。