こうした当たり前の理解のもと、人類は権力を分散するシステムを構築してきた。
保守政治は人間の理性は万能ではないと考えるので、あらかじめセーフティネットをつくる。
制度がなりたった歴史的経緯は異なるものの、三権分立や議会主義は民意が直接政治に反映されるのを防ぐための制度である。
さらには間接的に民意が反映される立法府も二つに分断される。

しかし、改革、民意礼賛の大合唱の中、政治制度改革の名のもとに、セーフティネットは破壊されてきた。
政治資金規正法改正による党中央への権力の集中、小選挙区比例代表制、裁判員制度……。
そしてついには一院制の導入を主張する狂人が総理大臣になってしまった。

平成30年にわたり、こうした愚行に喝采を送ってきたのは有権者ではないか。新聞もテレビも有権者批判をしない。
連中の最大の顧客なのだから。
反体制を気取る言論人もタレントも、有権者を批判しない。人気商売だからだ。

安倍晋三という自己愛と幼児性むき出しの特異なメンタリティばかりが注目されるが、一番の問題はあれを生み出すにいたった戦後の平和ボケである。
よって処方箋はない。国民が根本的なところで改心する可能性もほぼない。恥知らずの国は恥辱により滅びるだけの話。

対案を示せ?明るい未来をつくる方法を考えろ?
断る。私は安保法制や公文書改竄などの一連の安倍晋三案件で日本は近代国家としてはすでに滅びていると判断しているし、
そんな政権がこの期に及んで42.7%支持されているなら「手遅れ」と判断するのが妥当。
世の中には個人が動こうが、どうにもならないことがある。

私が文章を書いているのも、「おかしい」ことに対し「おかしい」と言わないのは精神衛生上よくないからであり、
自分の発言が世の中を変えるなどとアホなことを考えたことは一度もない。
結論。諦めも肝心。物事は長いスパンで考えたほうがいい。

11世紀に日本人の高い精神性を示す「源氏物語」が出現したが、21世紀には日本人の低い精神性を示す安倍晋三が出現した。
いったん国は滅びるだろうけど、31世紀くらいまでに時間をかけて立て直すしかない。
「鳴かぬなら鳴くまで待とうほととぎす」。