記者によると、イチローは“ここだけの話”と打ち明け、その情報がどんな形で
掲載されるかを追跡する。「中には、他の媒体でアルバイト原稿を書いたり、
情報を提供する記者もいますからね。イチローはこうやって、記者が関わる
雑誌や行勣範囲を洗い出すんです」
 あるキー局関係者によると、イチローは球団広報に命じ、自分の記事をすべて
チェツクさせているそうだ。
 「イチローに出入りを許されているのは、イエスマンか、私生活に一切触れない
通信社の記者、もしくは大本営発表の効果が高く、ギャラも弾むテレビ局と
いうラインナップになります」
 今回の取材でも、イチローと親しいといわれる関係者に何人か当たったが、
彼らは一様かつ露骨に困惑を見せた。その一人は話す。
 「いくら忠誠心を示しても、イチローは心底から信用してくれません。
でも、彼とのパイプがあれば仕事にありつける。だから僕は、恐怖政治に耐えるんです」

アスリートビジネスの虚と実