楷書(手書き書体)

概要
一画一画を続けずに、筆を離して書く。方形に近い字形である。横線は、筆の打ち込み、中間の線、筆の止めがはっきりしていることが多い(三過折)。

現在では漢字のもっとも基本的な字形であるといえる。楷書は比較的新しい時代に生まれた。 なお、現代日本で一般的に書道などで楷書を学ぶといった経験が少なくなり、活字印刷を通してしか漢字を目にすることがなくなってきたことから、楷書を活字体(明朝体)の字体(字の骨格)をなぞったものと考える向きがある。

しかし、この活字体は康熙字典の書体をもとにしており、初唐に確立した伝統的な楷書とは異なるものである。

歴史
楷書は、漢代の標準的な書体であった隷書に代わって、南北朝から隋・唐にかけて標準となった書体である。

行書体が確立した時代に発生したため、これらの中では最後に生まれたとされている。唐時代までは「楷書」とは呼ばれず、「隷書」「真書」「正書」と呼ばれていた。

楷書体があらゆる書体や書法に通じる基本書体であるのは、現在までのところ楷書体が最後にできた人工的な大書体だからである。甲骨文から金文が、金文から篆書体が、篆書体の省略体として隷書と草書が、そして横画右上がりの草書から行書が生まれ、さらに行書が石刻されたことをきっかけとして楷書体が生まれた。つまり楷書のなかには、それ以前のあらゆる書体が注ぎこまれ、文字史のすべてが吸収されている。それが楷書体が「あらゆる書体に通じる」基本書体である理由とされている[2]。