グウィンが語った「イチローのバッティング」

 2001年の初夏。前年にメジャー通算3000本安打を達成したグウィンに、メジャー1年目のイチローのバッティングについて質問した時、まず彼はそう語り、そして続けた。

「春のキャンプでイチローを見た時は、なんてひどいフォームなんだ、と思いました。私から見れば、やってはいけないことをすべてやっていたんです。でも、試合を通して彼のバットの操り方を見ていると、うまくやっているんです(苦笑)」

 まずは、イチローについて。

「いい打者であることの条件は、どの方向にも打てることだと信じています。
そのためにはボールが自分の顔のレベルにくるまで待たなければなりません。
ボールを捉えるのが後ろになるほどミートしやすくなりますから。
イチローは......、僕には彼の上半身の動かし方がどうしても変に見えます。
前につんのめって、あれではボールをギリギリまで待つことができません。
でも、手は残っていて他の優秀な打者と同じで、バットのノブ(グリップ)がボールに向かっているんですよ」

―― 3割打者と3割5分の打者では見える世界が違うのでしょうか。

「3割5分の打者はランディ・ジョンソン(※1)やケビン・ブラウン(※2)などの最高の投手を前にしても自分の打撃ができる。
3割打者は良い打者とは言えますが、トップレベル以下の投手を喰い物にしているにすぎません」

https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/baseball/mlb/2014/06/29/13/index.php