――山田さん自身は打者より投手の方が早く戦力になると考えていたのですよね。 ええ。ピッチャーの方が早いだろうと。球は速いですし、スライダーがよかったですから。ただ、バッティングも非凡なものがあったので、ピッチャーとしてダメだった場合にはバッターに転向してもかなりの選手になるんじゃないかとは思っていた。投手として何年かやってみて、それでダメなら打者でと。最初から投手と野手の両方、二刀流なんて発想はまったくありませんでした。
――それがなぜ、1年目から二刀流になったのでしょう。 (大谷との入団)交渉にあたったとき、栗山監督から聞かれたのです。「山田さん、例えば大谷がいい返事をして、入団が決まったとき、マスコミの人たちにいろいろと聞かれたら、どっちがいいと言えばいいのですか?」と。なので「両方とも素材はいいと思いますよ」と返事をしました。「栗山さんがキャンプで両方やらせてみて、それで現場として判断、結論を出したらいいじゃないですか」とも。「そんなに両方いいというのであれば、そういうことにしましょう」という話で、そこは終わったのです。その後、何日かして入団が決まったとき、栗山さんはマスコミに「両方いいから二刀流でも」みたいな言い方はしていました。