ボンズがステロイドを使っていなかったら、いま、どれくらいの記録になっていたのだろうか? そんな疑問に答えたのが、セイバーメトリクス(野球を数理統計学的に解析しようとする「学問」)に明るいベースボール・ライター、アラン・シュワルツだ(シュワルツは、今年、そのものズバリ『ザ・ナンバース・ゲーム』と題する本を著し、野球にまつわる統計学的解析の歴史を概観した)。
セイバーメトリクスの手法の一つに、選手の過去の実績に基づいて将来の成績を予測する方法があるのだが、シュワルツは、1999年までのボンズの実績を基に、2000年以降の成績を、シーズン毎に「予測」したのである。計算の基礎になったのは、年を取るとともにどれだけ力が衰えるかについての、過去の大リーグ全選手のデータである。シュワルツによると、ボンズが「薬の力を借りずに年齢相応に力が衰えていった」と仮定した場合の各シーズンの「予測」本塁打数と実際の本塁打数(括弧内)は、2000年30本(49本)、01年25本(73本)、02年24本(46本)、03年19本(45本)、04年18本(45本)

となるという。通算本塁打は703本ではなく、561本だったという計算結果で、アーロンの記録はおろか、ルースの記録すら破る可能性はまったくなかった勘定になるのである。
2004/12/20 00:00
https://number.bunshun.jp/articles/-/14319?page=1&;_gl=1*tgy2am*_ga*YW1wLU5UQTZmVmNzcm01QXowVHp2OEtEQ2dLS1dQZ2xtdDZDSXp5ajdtcWJVUmkybDAtS0tPVHU0endPT0QxZ25uckY.