>>98のつづき

現代の記者がMVPを決める上で参考にするのが、WAR(Wins Above Replacement)という指標だ。
打撃、投球、走塁、守備を総合して、どれだけ個人がチームに貢献したかを示す。

 具体的には、メジャーとマイナーの間にいるような控えレベルの選手に比べて、
どれだけ勝利数を上積みしたかを算出する。

 有名なのはデータサイトのFangraphsとBaseball Referenceによる算出で、
大谷はその両方でメジャー1位に輝いている。

 Fangraphs版のWARでは大谷(8.1)、コービン・バーンズ(7.6)、ザック・ウィーラー(7.4)、トレイ・ターナー(6.9)、
ブラディミール・ゲレロJr(6.7)という5位までの順位。

 Baseball Referenceでは、大谷(9.0)、ウィーラー(7.8)、カルロス・コレア(7.2)、マーカス・セミエン(7.1)、
フアン・ソト(7.0)となっている。

 今季の大谷は、「メジャーリーグで最も活躍した選手」ということだ。



二刀流という点だけで見れば、大谷は100年前のベーブ・ルースをも上回ったと言える。

 ルースは打者としての才能に気づいてからは、自ら投手を辞めた。大谷は自らの意志で両方をやり続ける道を選んでいる。
分業制が進み、ルースの時代とは比較にならないほど選手層が厚い現代で二刀流は不可能と言われたにも関わらず。

もし大谷がMVPに選ばれなかった場合、野球界の汚点として振り返られることになるだろう。