後半の主役は何と言っても HAL9000。
Yes/Noの質問に、いきなりYes/No以外の答えを返すA.I.って、あるだろうか?
HALとモニターでチェスをするシーンがあるが、これもやがて来る「TVゲーム」を予見している。
今は誰でもコンピューターでチェスをする時代になった。
ミッションに疑念を抱き、反乱を起こすHAL。読唇術をするHALの怖いこと、怖いこと。
「I’d got a bad feeling about this.」スター・ウォーズで毎回使われる台詞がここで出てくるのは、ルーカスがキューブリックへのオマージュとして始めたことなのか?
このHAL vs 人間の闘いは、今見ると、次のモノリスに触れるのが「A.I.」か「人間」かを決める闘いだったかにも見える。
そして木星に浮かぶ第3のモノリスとワームホール(?)の映像! このワームホール(?)を抜けるまでの映像を初めてスクリーンで見たときの衝撃たるや否や、
ドラッグでも決めたんじゃないかと思うくらいの衝撃的な体験だったのを覚えている。今じゃこれくらいのSFXは当たり前かもしれないけれど
「スターウォーズ」も「スタートレック」も、ワープシーンは全てこれから影響を受けている。まだCGのない時代に、これだけの映像を作る感性って、キューブリックはマジ「神」ですわ。
そしてそこを抜けた後の更なる難解な展開は、今更ですが未見の方のために伏せておきましょう。
ラストは有名な「スターチャイルド」。第4のモノリスに触れた人類は何に進化したのか? まあ、実際の我々は、まだ2番目のモノリスにすら触れていないんで、
進化どころか退化し始めてる気もするんだけど…。まだ「2001年」が遠い未来だった頃には、人類の革新が信じられていたのさ。
完璧な映像と哲学的テーマを持ったアートとSFの融合。未見の若い方々には、このSFの古典的名作を「シェイクスピア」を読むような気持ちで観賞していただきたい。これは「芸術作品」です。