映画評論家町山智浩アメリカ日記
2004-03-13

天安門広場での死者はなかった
https://tomomachi.hatenadiary.org/entry/20040313

 カメラマン今枝弘一(当時27歳)が撮った写真のせいだ。米TIME誌にも掲載されたこの写真は学生を踏み潰す装甲車と「説明」された。実際には犠牲者らしきものは見えないが、世界中がその「説明」に飛びついた。今枝は「日本のキャパ」と呼ばれ、一躍スターになった。

 天安門虐殺が否定された頃、『宝島30』という雑誌をやっていたオイラは、今枝弘一に直接電話して真偽を追求した。すると彼は装甲車のキャタピラあたりに「テントに包まれた人間らしきものが」踏み潰されているように見えると言っただけだ、と弁明した。

 で、オイラは尋ねた。
「今枝さんは、それが人間かどうか確認したんですか?」
「いいえ」
 なんだそりゃ?!
 そんないいかげんなことで世界は「天安門広場の虐殺」を信じ、人によっては今だに信じているのだ。