時は過ぎ、夕暮れになり、宿のタコ部屋に戻る。
ぶっちゃけ俺にとって合宿の醍醐味はこの時間にあるといってよい。
ケータイやゲーム機で遊んでるヤツ、スカしてポータブル・プレーヤーで音漏れさせてるヤツ、お気に入りのマンガや雑誌をスナックを摘みながら見てるヤツと様々だ。
その群雄割拠の中で俺とシュウと数名はブラウン管テレビの前を陣取っていた。
「なあ!これ絶対おもしれーヤツだからw」
そう言って同輩の1人がそそくさとVHSを入れた。オープニングが始まる。
「……なんだよぉ〜!!wガキンチョ向けのジャリ映画じゃんかぁ〜!!www」
どっと笑いが起こった。それは子供向けの魔法ファンタジー映画だったのだ。
「ちくしょ〜AVだと思ったからバラエティー我慢して譲ったのによぉ〜」
等身大のクレームが微笑ましい。だがそこは野郎は野郎でも男の子。序盤が終われば食い入るように屈託のない瞳たちが画面に釘付けだ。
いよいよ中盤の山場である寮対抗試合が始まった。
……そう、丁度その時だった……。
「てめぇーら!いつまで起きてんだぁっ!!!」
……子供の作った砂山を大人が寄ってたかって崩すようなナンセンスな罵声。
そうだ……この合宿には悪魔が居たんだった。それもそのはず…獄卒は待ってはくれない。
こっちの都合などお構いなしに悪意に満ちた不条理劇は幕を開けたのだった…。


遅れて済みません。取り敢えず今日はここまでです。
お気に召したら幸いです。
引き続きリクは受け付けますので今後ともヨロシクです。
寒暖の差が激しい季節がやって参りました。
皆様もご自愛くださいませ。

では。