「過去最高」の翌年に「8割消失」の衝撃…壊滅状態のライブ市場はどうなるのか 市場も観客の心理も元に戻るのか
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/79258

――現状での見通しは当然不透明なところが大きいとは思いますが、2021年以降のライブ・エンタテインメント市場の予測に関してはいかがでしょうか?

笹井:おっしゃるとおり、先のことはわからないのですが、コロナ前の水準に完全に戻るには、2021年だけでは足りないかなと思っています。
それは、最初に申し上げたように、イベント開催の制限もいまだ続いていますし、感染症そのものの収束も見えていないというのが大きいです。

ワクチンが行き渡るにも時間がかかりますし、観客や主催者の自粛心理は、そう簡単には払拭されないと思います。
業界内でも100%元通りにはなかなかならないだろうという意見が多いですね。

あともうひとつの大きな要素として、東京オリンピック/パラリンピックがあります。

基本的には、オリンピックで使用される会場では開催時期の前後も含めてライブが行えないので、
ライブエンタテインメントの入場料収入だけで考えるとオリンピックの開催はマイナスに働くんです。

ただ、その一方で、オリンピックが無事開催されたら、社会の機運が高まり、イベント会場に足を運び熱狂しても大丈夫だという一つのモデルケースになるとも言える。

その後のライブ・エンタテインメント市場の復活に向けた弾みになるのではという期待もあります。

――風向きが変わってくるとしても、少なくとも春、夏以降になる可能性が高い。

笹井:そうですね。2021年の予測値についても日々試算しているんですが、感染拡大状況や政府の対応などの状況次第で大きく数字が変わってしまう。
いずれにしても、しばらく厳しい状況が続くことは覚悟しなくてはならないと思っています。

今はできることを粛々と積み重ねながら、この経験を糧に再生に向けた準備に努めるしかありません。
困難な時だからこそ、社会が活力を取り戻すためにエンタテインメントが必要だし、継続していかなければならないと信じています。