で、入社は4月だっからそれまで日雇いの現場仕事が終わるとしょっちゅうその女と会ってた

その女の勤めてた銀行の社員通用門の前で作業着着たたまま自転車で待って
そこから出てくるエリート面したオトコ達から憐れんだ目で見られたけどその女はお構いなしに俺の自転車の後ろに飛び乗ってきた

自転車に二人乗りしてウォークマンのイヤホンをかたっぽづづはめて矢沢のこの夜を聴くのがお決まりのスタイルで来年(1996年)は一緒に矢沢のライブに行きたいねって話してた

みなさんヨーイドンで日雇いのチンピラからスタートした俺が理屈から硬派に変わって行って行って行って…
今じゃこうやって一人前の飯を食えるようになって、あーここに来て初めて日雇いから脱却出来たと言えるんだなって思ったら俺は幸せだなって思ったよ

だって、日雇いだけでコノヤロー!女とコーマン決めながら飯食っていこうなんて甘いよ

そう思ったら1995年の梅雨の時にあの小さなレコード屋のオッサンに出会ってなかったら俺の人生全然違うものになってたと思うよ