「…ぷはっ」
30秒かそこいらだろうか、長い口付けを終え唇同士が離れる。キスの間に混ざり合った唾液がこぼれ落ちる
「…初霜、君が良ければで良いんだがこの続きもどうだ…?」
「続き?」
「まぁ、平たく言えば君をこのまま抱きたい。無論、夜戦的な意味で…」
「っ!?…分かりました、提督に任せます。」
「…無理しなくても良いんだぞ。」
「私もここまでしといて今更後には引けませんよ…よろしくお願いします。」
同室の雪風には…霞が何とか上手く伝えてくれる事を祈ろう。
「流石に執務室でするわけにもいかん。俺の自室に移動しよう。」
「はい。」
そう言うと私は提督の腕に抱きつく。
青葉にでも見られたら面倒だが、いずれにせよ私と提督がこんな関係なのは遅かれ早かれバレてしまうだろう。
現在私が提督に恋心を抱いてる事を明確に知っているのは21駆メンバーと霞、雪風くらいだ。
彼女達には何度かこの件を相談した事がある。彼女達は信頼できるから良いとしよう。
そして問題はその他の艦娘である。この前のバレンタインの件で私も提督狙いである事が少々鎮守府に広まってしまっている。
もちろん口伝えの噂なのでどこまで広がっているかは分からない。
だが秘書艦を務める事が多いとはいえ提督と一緒に居る時間が増えれば怪しく思う艦娘も多くなるだろうし、
何かの拍子にイチャイチャしてる所を目撃される可能性もある。そして人の口には戸は立てられない。なので私は開き直る事にした。
「初霜…」
「これくらい良いでしょ。」
「誰かに見られたら…」
「その時はその時。誰かに会ったら私が堂々と宣言しますよ。『私はさっき提督と恋人同士になりました。』って。」
やれやれ、といった表情で提督は私と共に自室へと向かう。