いずれも穏やかな笑みを浮かべているのは不気味に思えるかもしれないが、これには理由がある。

数十年前の種としてのニクが完成された頃から、家畜ニクは生後から現在一歳まで徹底した教育を施される。
自分は「人間とポケモン」の為にその命を捧げる名誉と幸福があり、それは何よりも素晴らしいこと。
ニク達がこれらを受け入れるのも理由があり、過去の彼らは本能で他者に対し献身的な態度を取ることがあった。
それが自身の命を狙う相手でも。
良い部分を伸ばし悪い部分を排除する理想の教育は成功し、
このような教育から「お世話していただく人間様に恩を返し、ポケモン達の糧となる」事もすぐ様受け入れる。

そして断頭台に首を差し出すこの瞬間の為にその身に肉を蓄えてきたのだ。
ニク達はこれから最高の名誉ある最後を迎える。今ここにいる事を皆誇りに感じているのだ。

「今までおいしいご飯と楽しい暮らしをいただけてありがとうございました。私達はこ」
ズダン!10頭はその命を捧げた。

排水溝に流れる水が赤く染まる。作業員がゴム製のレーキで血水ごと頭部を排水口に設置された篭へ押し出していく。
ニクそれぞれの表情は穏やかだが目尻に涙を浮かべていた。