これが屠殺だが 例外 というものはどんな物にも存在するのも確か。
次の10頭のうちの一匹が急に叫び出すが、すぐ様作業員に取り押さえられた。
これは100匹中1匹いるかいないか程度ではあるが、やはり生命体である以上確実とはいかない部分はある。
大暴れしながら断頭台に首をはめられる一匹のニクだが、周りのニク達はそれをまったく気にしないどころか軽蔑の眼差しだ。
死を受け入れられないニクは恥ずべき存在。

「ビィギィィッ!イギィィッ」
首を抜くべく顔を真っ赤にし両手で首の拘束をはずそうとするが、
ズダン!
叫び声は消え、残りの全ても命を捧げた。

司令塔を失った体は痙攣を終えるとフックに吊るされ、作業員に血抜きと毛皮をはがされ腹部を裂かれ肉にされていく。
それを終えると冷蔵室に運ばれていき各所に届けられる。
これら一連の作業はかなりの速さであり、すでに次のニクが運び込まれていた。

タブンネは昔から食用にされることもあったがその際に体や精神を痛め付けると肉質や旨味があがる性質があった。
だが現在は研究が進みその煩わしい作業の必要性も失われている。
科学の力により改善サプリが開発され、食肉用ニクの飼料にまぜて与えるだけで肉質を限界まで痛め付けられた同様にできる。
だが本ニクも気づかないが体は蝕まれ、結果寿命が一年になってしまうが食肉処理適齢が一歳なので問題にならなかった。