このつがいはこの山で10匹も満たなかった群れの生き残り。
彼らは安住の地を求めようやくたどり着いたのがこの山。
人の施設から近いということで野生ポケモンもおらず、苦しさから解放された安心感からか群生していた食料を根刮食い漁った。
そして陥る食糧難。本能レベルで進化や適応を知らない群れは過去のように人家を求めそして死ぬ。
餓死、人里へ向かい駆除、様々な理由で減り続け今に至る。
何匹かは牧場へ向かったまま戻らない。
さらに外だけでなく中も変わりないのも事実。
♂が傷だらけなのは食料をめぐった内部抗争の結果。巻き込まれたつがいの♀は足を失った。
極限状況であれば仲間を失っても今のタブンネには食料を争う相手が消えた程度。
本来の優しさを向ける相手はあくまでも自身の家族だけ。

それが今のタブンネ。


決意を固めた♂は無言で石を握りしめると微動だにしなくなった我が子へ向けて石を叩きつけた。
グチャグチャバリッピチッ
という音を聴かぬよう目をギュッと閉じ耳を塞ぐ♀。

すきま風が吹き込み、カタッと何かが落ちたような音の先にあるのは骨。
廃屋の隅に積まれた小さなたくさんの骨。それが今のすべてを物語っていた。
もはや未来を繋ぐベビ達は非常食でしかない。