糞は、人間や他の生物により様々な利用がなされている。

動物の栄養源・食用
「食糞」も参照
様々な生物で、栄養源、あるいは食用として糞が利用されている。排泄物には、その動物が消化吸収できなかった成分が含まれるが、それを再吸収するために食う場合もあれば、その動物が利用できない成分を、他の動物が食う例もある。さらに、糞にはもとの食物に含まれていた成分だけでなく、酵素・細菌の働きなどにより、その動物の腸内で添加されたり、分解によって生じた成分が含まれたりすることもあり、それが重要な意味を持つ例もある場合がある。

例えばウサギなどは、自分の糞を食べる。北米コロンビア川渓谷に棲息するナキウサギは、栄養価の乏しいコケ類を食べているが、排出した盲腸糞はナキウサギの胃腸の微生物によって、コケの6倍もの栄養素を有しており、食糞によって栄養を得ている[2]。また、コアラなど、親が子に栄養分を豊富に含む未消化の便を与える動物もある。これは初乳に近い役割を果たしている。草食動物の場合は、腸内細菌の働きによって草木を消化するが、腸内細菌の発生が弱い場合は消化不良を起こす。そのような時に草食動物は、腸内細菌の補充のために、好んで自分や仲間の糞を口にする。

哺乳類の中には、子育て期間中に子供の糞を食べてしまう種もあるが、これは子供の消化能力が弱くて、未消化分が多いこともあるが、それ以上に天敵から身を守るために、糞をできるだけ巣の周辺に残さないようにする合理的な行動である。イヌや人間などでは、生理的合理性がない食糞行為も観察される。特に人間の糞尿摂取については文化的側面も強い(#文化面から見た糞参照)。

糞が別種の動物に利用される場合もある。野性において動物の糞は、よく他の動物の餌になる。代表的なのは、昆虫の中で、糞虫といわれるコガネムシ類である。フンコロガシ(スカラベ)がよく知られる。