チュルンッとマルノームは子タブンネをもう一度口にしまう。
「ミ"バァーーン!!」
子タブンネの叫びと同時に、マルノームの喉がゴグリと動く。
子タブンネは完全にマルノームに呑み込まれてしまった。

「ピャ…ピェーッ」
それを見ていた毒ンネも、苦しみながら泣く。
だが、こちらも限界だ。
「ピィー…ピィ…ピッ…」
一度ビクンッと大きく痙攣したあと、力尽きた。

マルノームは毒ンネの死体も丸呑みすると、ゲッポとげっぷをした。

「お疲れ様でした。マルノームくんも満足ですか?」
「いやー、楽しかったよ。マルノームも満足してるし」
「ありがとうございました。またいつでもご来店ください」
そう会話をしてお客様を見送る。

さて、話が脱線してしまったが、これからまた料理に移ろう。

次はいよいよメイン料理。
「孵化前タブンネの炙り焼き」だ。

「ミッミッミッ!」「ミィ〜♪」
タブンネ部屋に入ると、二匹で二つの卵を抱き締めたり、擦ったりして温めている夫婦ンネが目にとまる。
ママンネもパパンネも、早く生まれてきてほしいのだろう。

カタ…カタッ…
俺が夫婦ンネから卵を貸してもらい、耳をつけてみるとそんな音がした。
生まれるには後二、三日といったところか。
これくらいがちょうどいい。

「中々生まれないね。ちょっと検査をしてくるよ」
我ながらワンパターンではあるが、夫婦ンネは「ミ〜ィ♪」とニッコリ笑顔で渡してくれた。

本当に疑うことを知らないお花畑だw
尤も、牧場で甘やかされたタブンネ達にはむりもないが。

さて、実は一番苦労する料理なんだよな。
というのも、卵を優しく割る必要があるからだ。
強く叩いて脳に障害が生まれると、上手くミィアドレナリンが分泌されないし、最悪、死なせてしまうこともある。
難しいのはそこだけだが、神経を使うのだ。

コッ…コッ…
そうして無事に卵を割ると、中からはまだベビンネにも満たないベビンネが出てくる。
大体25cm程、毛はまだまばらであり、耳も目も開いていない。