プログ

「表現の不自由展」の問題点を端的に言うと
「表現の不自由」について語る事は大事だと思うんだが、表現の不自由展の、
自分の印象における問題点を端的にいうと
これまで人類史上延々と続いてきた「美術」という伝統からくる美意識の、現在における不自由、
について、あまり語られていないからじゃないかなと思う。
美術ってのはテクニック上の事とか色々あると思うけれど、美意識というのはずっと昔からの
流れでの美意識というのもあるわけだし、自然に「きれい」とか「美しい」と思うものは、
描いたり作る側は表現したくなるし表現して仕方がない。
でも、それ自体が今極度のヒステリーや支配欲や権力によって、表現も発表もおびやかされて
いるんだと思う。
おびやかすってのは脅迫みたいな暴力的な世の中の澱んで濁った「空気」(ヒステリーだったり
ニタニタだったり)によるわけだけど。
その「おびやかしてくる連中や空気」というのが害毒だというのは、自分も同意するんだけれど、
でも「美しい」「やさしい」「善良」だと作り手が思うものについて、表現者でもない他者が
おびやかしてくる(中傷でもデマでも暴力でも)、というのは、政治主張のイデオロギーが
おびやかされる事とは、また異質の酷さだと思う。
で、そこへの言及が足らなそうに見えるのが、自分の印象では、問題点なのではないかなと思う。

by 森本コージ(浩司)