伊部擦(いべすれ) 艦国志演義の作者

淫王朝中期の人間で、商人とも下級役人とも言われている。幼い頃より艦国志の講談を聞き、中でも最後まで艦帝国に殉じた司馬歩と宿雁に入れ込んでいた。
当時はすでに「艦国志平和」と呼ばれる講談をまとめた本があったが荒唐無稽な内容であり、伊部擦は自ら筆を取り史実要素を加えて修正し、新たな艦国志の物語を作った。
これが艦国志演義である。そのまえがきで「田内治の艦国志に触れた」とあることから、何かしらの手段で正史を手に入れてそれを元に修正したものと思われる。
彼の本はたちまちベストセラーになり、後の世まで多大な影響を及ぼした。

しかし史実と異なる描写が多く、一部人物の性格を改変したり東国を必要以上に貶している。一方で謙介と李稚蘇姫は非難し、司馬歩と宿雁を必要以上に持ち上げていることから例え主君が無能でも最後まで付き従うのが真の愛国者という思想が見え隠れしている、との指摘がある。
これに関して具知民は「艦帝国正当論者」という見方を示した上で「艦帝国が覇権を握っていれば世知辛い世の中が変わっていただろうという妄想にすぎない」と切り捨てた。

具知民(ぐちみん) 「艦国志読解」の作者

淫王朝後期の歴史学者。艦国志演義の描写に疑問を持ち、正史と他国の歴史書を照らしあわせて演義の誤謬を指摘、正史を正しく理解してもらおうと「艦国志読解」という注釈書を著した。
しかし演義読者からは「史実警察だ」との批判が上がり、実家に放火されるぐらいであった。この事件がきっかけで山奥に篭もってしまい、「いつの世にもどこにも田内治のような者がいれば」と民衆の愚かさを嘆いたという。