抜け駆け出願について

正確には冒認出願というが、これは権利者がその国において商標を出願していない隙を突いて、先に出願し権利を確保しようというものである。
日本は商標登録にあたっては【先願主義】を採用しているため先に出願すれば良い。(ただし第32条で先使用権の規定もある)

この出願の悪質なところは、意図せず偶然に既存製品の商標を出願してしまった【のではない】というところだ。

元となる製品の意匠、名称は完全にコピーしているし、C2機関自体が艦これ以前から自衛隊を追っていることは古い同人誌からも容易にわかり、【かが進水式に参加した事実】から現在でも注目していることは明らかである。
本件の【SeaRAM】もかがの属するいずも型から搭載されており。そのいずも型は前述の動画にシルエットとして登場している。
そしてその動画内で【SeaRAMちゃん】が初御披露目される。
商品は2度に渡って販売しており、キャラクター初公開前に商標出願も済ませているあたり計画的である。

以上のことから本出願は万が一の偶然の一致などではなく、【事業者が対象を完全に把握した上で出願した】と言える。

本問題は他でも聞くことのある事例である。
例えば、中国で【クレヨンしんちゃん】の商標が先に登録されていてトラブルになった事例はご存知の方も多いだろう。(これは最終的に双葉社が権利を取り返している)
他には【笑笑】という居酒屋の名称がインドネシアで出願されてトラブルになったものもある。

今回のC2プレパラート社による行いは国内と海外の向きを逆にして行われたこれらと同列のものである。

国内で今回の物に近い事例では【面白い恋人】事件がある。
北海道の有名菓子【白い恋人】の【商標名称を完全に包含した商標】を吉本興業がパロディした商品で出願したが、商標法第4条第1項第7号(公序良俗違反)で拒絶されている。(販売差し止め訴訟も行われ最終的に和解している)