「ミキュッ!」
一号は叩きつけられた衝撃と、自らの汚物の臭気に思わず顔を上げようとするが、俺は躊躇なく一号の体の上に足を乗せ、身動きが取れないようにする。

うつ伏せで押し付けられた一号の呼吸だろうか、汚物の水溶液にコポコポと小さな気泡が生じている。
俺はその隙に近くにあった荷造り用のビニール紐を手にすると、怯えている二号の胴を両腕ごと、きをつけの姿勢でぐるぐる巻きにしあげ、同じく汚物の上に落とす。
「ミッ!ミ・・・ェッ!」
どうやら二号は落下の衝撃で口の中に汚物が入ったようだ。顔を顰めながら微かにえづいている。俺は次に汚物に塗れた一号を掴み上げる。一号の顔には自らの便が塗りつけられていた。一号も同様に縛り上げる。

俺は縛り上げた二匹をあらためて顔の前に持ってくる。手が汚物に塗れてしまっているが、もはやそんな事は気にならなかった。
二匹のベビンネは俺の顔を見ると、どうやら俺の顔は相当恐ろしい形相をしていたようで、突然二匹で示し合わせたのようにミイミイと困り顔で媚びた声をあげはじめた。

タブンネの触覚は他の生き物の感情を理解できると聞く。俺は二匹の触覚を握りしめ宙ぶらりんにした。
「ミィィィ!ミキャァァ!」
やはり相当敏感な部位なのであろう、二匹は甲高い声で鳴き始めた。俺は苦しそうに、芋虫のようにもがく二匹をしばらく観察した。

「・・・ごめんなさいはないのか」
俺は自分でも驚くほど低い声で二匹に語りかける。ベビンネ達はそれに応えるように一瞬もがくのを止め俺の顔を見るが、やはり触覚を掴まれた痛みの方が強いのか、また甲高い声と共にもがきだす。
「ごめんなさいはどうしたぁ!」
俺はベビンネ達に再び怒鳴りつけるが、どうやら逆効果だったようで二匹は縮み上がってしまい、チィ・・・チィ・・・とついに泣き出してしまった。

気づけば俺はその姿に、嗜虐的な感情で見入っていた。触覚を掴まれた痛みと、目の前の男の恐怖からか細い声で泣いているこのベビンネ達に、さらなる恐怖を与えてやりたい、そんな感情に取り付かれてしまった。
俺はベビンネ達の触覚を掴んだまま風呂場へやってきた。湯船の中を見ると、昨晩溜めた湯がすっかり冷め、この状況にもってこいの水攻め拷問具になっていた。