風呂場に入ると僕は二匹を浴槽に叩きつけた。

「ミギャ!ミギュ!」
と呻きながら突然の僕の変貌に驚く二匹。
僕はシャワーの温度を目一杯あげて二匹に浴びせた。
「ミビャアアアアア!」
二匹は狂ったように浴槽の中を走り回る。

そのうち一匹が石鹸を踏み派手に転倒した。
頭を強打して悶絶するベビンネに追い打ちをかけるように容赦なく熱湯を浴びせ続けた。
「アアアアア!」ビクンビクンと壊れた人形のように痙攣するベビンネ。目の焦点が合っておらず流石に可愛らしさは身を潜めた。
シャワーを一旦止めた後、息も絶え絶えの二匹の全身をナイフで切りつけた。
そして傷口にしみわたるようにシャンプーまみれにして最後は再び熱湯で雑に洗い流した。


散々悲鳴をあげ、すっかり声も枯らしてしまった二匹は力無く「チィ・・・」と呟きピクピクしている。

シャワーの後、三匹を再会させる。
二匹の惨状に驚くワサビンネと、ぐったりしながらも目はしっかりとワサビンネを睨み続ける二匹の姿があった。

ベビンネ達の仲に亀裂が生じ始め一晩があけた。
二匹は体を寄せ合い体を暖め合いながら、すやすやと寝息をたてている。
「スゥスゥ、フミィ〜。」一匹は時節寝言のようにミィミィ呟くと体をブルブル震わせた。

直後床に熱を帯びた液体がじわじわと広がった。
隣の一匹は夢の中でご馳走を食べる夢でも見ているのかヨダレを垂らしながら眠っている。
そして寝惚けながら床に広がる液体をペロペロ舐めていた。


一方一晩ハブられたワサビンネは冷えきってしまったらしく鼻水を垂らしながらガタガタ震えて時々「ミシュン!」とくしゃみを繰り返した。


起床した僕は朝食の準備を始めた。
こんがり焼けたトーストの香ばしい香りで目を覚ました三匹は直ぐ様香りの元に駆けつけた。
ママンネも釣られて屋根裏から降りてきた。

再会した家族。
だがどこかぎこちなさを感じる。
ギスギスした関係と言ってもいい。

僕はトーストにマーガリンをたっぷり塗り付けタブンネ達に差し出した。
熱々のトーストにがっつくタブンネ達。
ベビンネ達は慌てて食べるので時々「ミピッ!」と熱さに口をハフハフさせている。