オデンネがトップだ。昨夜ママンネに食い千切られ怪我こそ治ったものの、みすぼらしいままの尻尾をフリフリさせながら前進する。僕はオデンネを手で押さえ付けた。
「ミィ?ミッ!ミィィィ!」
身動き出来ないオデンネは「邪魔しないで!」と唯一自由に動かせる頭を振りながら憤慨している。

僕はオデンネの耳と触角に画ビョウを刺した。
「チギャアアアア!」
画ビョウが触角を貫通し床にも刺さっているため移動する事が出来ず、暴れるものなら激痛が増すだけなので「ミィ・・・!ミィ・・・・!」と涙を流し痛みに耐えながらじっとしているしかない。
「お〜っと!オデンネはここで一回休みか!」

僕の実況を聞いた二匹がトップに躍り出るチャンスとばかりに張り切りだした。兄弟の危機に気付いていないのか?

二番手はワサビンネだ。毛並みが良くオデンネとは対称的に可愛らしい尻尾を振りながらママンネを目指している。
僕は同じくワサビンネを押さえ付けガムテープを全身に貼り付けた。
「ンミィ?ミミィ〜!ミッミィ!」
不快そうにガムテープを睨むワサビンネ。
「ごめん、ごめん。直ぐに剥がすよ。」
僕は乱暴にガムテープを剥がすとワサビンネの整った毛並みは一気に乱れ、毛は抜け落ちていった。

「ミビャビャビャァ〜!」僕はのたうち回るワサビンネを大きめのビンに突っ込んだ。
キムチが入ったビンだ。
キムチから頭だけ出したワサビンネはヒリヒリ痛む体をキムチに浸けられ悲鳴をあげた。
いや、訂正しよう。キムチンネだ。
キムチンネから昨夜のシャンプーの香りは消え失せ周りにキムチ臭を漂わせた。

画ビョウで刺されたオデンネ。
キムチ漬けにされたワサビンネもといキムチンネ。

最後の一匹は今朝おねしょをしていたベビンネだ。
他二匹の惨状を目の当たりにして、すっかり怯んでしまった。
しかし体は紐で縛りつけられているので逃げるに逃げられない。
「ミィ、ミヒィ・・・」
涙目でプルプル震えるベビンネ。
僕が近寄ると歯をガチガチ鳴らし始めた。
ブッ!ブバババ!
ベビンネは派手に放屁したかと思うと勢い良く糞尿を撒き散らした。
僕は呆れながら見下ろすとベビンネは悪びれる様子も無く鼻水まで垂らして泣きじゃくっている。