ベビンネ達は目を輝かせオボンの実に向かうが鎖のせいで食べる事が出来ない。「ンミィ!ミギィィィ・・・!」
直ぐ目の前に食べ物があるのに、どんなに必死に手を伸ばしても届かない。
ベビンネの口元はヨダレの大洪水だ。

オムツンネには特別に木の実を直に渡す。
「フィ〜!フィフィ〜!」サファイアの瞳をキラキラ輝かせ木の実をじっくり凝視したあと、かぶり付こうとするが昨晩僕に歯をへし折られたので木の実をかじる事が出来ない。
「フガッ!ファ〜!」
サファイアの瞳は充血し真っ赤に染まった。
仕方なくペロペロと木の実を舐め続けているが勿論腹は膨れない。
いじらしく健気で可愛いな。

「朝食の時間は終わり。残したご飯は片付けるよ。」僕が木の実を取り上げた時のベビンネ達の表情は最高だった。
残飯となった木の実をゴミ箱に捨てるとベビンネ達はいつまでもゴミ箱を名残惜しそうに見つめ続けたり、両手を伸ばして悲しそうにミィミィ鳴き続けた。


だが餓死して死なれてもつまらない。
餌はちゃんと与えないとな。

僕は先程捨てた木の実を取り出してベビンネ達の届く所に転がした。


涙目の子や虚ろな目の子達の瞳に再び光が戻ると感極まり「ミィ・・・・!ミミィ・・・・!」
と声を詰まらせながらも木の実を抱き締めた。

ベビンネ達が木の実を食べ始めようとした直前に僕は木の実に大量の力の粉という苦い薬をかけた。
「ンミィ〜!ミフーッ!」明らかに不快な顔をするベビンネ達。
しかし今はこれしか食べ物はない。好き嫌いをしている場合ではないのだ。
ベビンネ達はシクシクと泣きながら木の実をかじり始めた。

「ミィィィ・・・・!フミィ〜・・!」
あまりに苦いのか一口食べる度に舌を出し苦痛に顔を歪めている。
ベビンネ達は何か飲み物を欲しがるようにアピールを繰り返すが僕は無視した。
オムツンネは歯がないので木の実を見つめたまま、じっとしている。

「オムツンネ、口を開けて。」
オムツンネは顔を上げて口を大きく開けた。
「ファ〜。」と間抜け面で間抜けな声をあげてご馳走を今か、今かと待ちわびている。
僕はオムツンネの口に直に力の粉をふりかけた。