僕はまぁ、WUGに関わっている以上は彼女たちに多大なる責任を持たなければならない、と思い、
定期的に個別に話をし、時には相談に乗っていた。
これは自画自賛と思ってくれて構わないが、僕のアドバイスが彼女たちに確実に影響を与えたようで、それはそれで満足している。
例えば、永野愛理とLINEをしていた時だ、不意に今後の相談になった。
「なんか行き詰まってるような気がして、今後のことが心配です、どうすればいいでしょうか?」
みたいな内容だった。
僕は正直に答えた。
「お前の演技力では正統な声優にはなれない。それは捨てた方がいい。でも、個性的な声優にならなれる。例えば金田朋子さんとか」

「はい」

「久野美咲と言ってもいい。彼女らは決して上手くない。しかし突出したアクの強さで、今の地位を勝ち得た。だから、まず個性をガンガン出せ。
お前は野球が好きだから、野球バカのところも惜しまず出せ」
このアドバイスが利いたのか、彼女は「わぐばん!」辺りからどんどん前に出るようになる。
開き直った女は強い。その後野球関係の番組やイベントもどんどんゲットして、ちょっとした「野球芸人」の地位を確保した。

彼女はグループの中でも一番賢いメンバーだった。僕は彼女の勇気を褒めたい。