【ブルックヘブン=上塚真由】米南部ジョージア州のブルックヘブン市は30日午前、韓国系団体から寄贈を受けた慰安婦像の除幕式を同市内の公園で行った。在アトランタ日本総領事館や現地の日本人らが設置に反対してきたが、覆せなかった。

 米国の公有地への像設置は、2013年の西部カリフォルニア州グレンデール市に次いで2例目。15年末の日韓合意後は初となる。

 これに先立ち、ブルックヘブンの市議会は29日夜、像設置に反対する日本人住民らの意見を初めて公の場で聞いた。

 韓国系団体が主張するような人身売買の防止の啓発や、女性の人権といった受け止め方をする意見はほぼなく、大半が「反日」や地域社会の分断を懸念したが、市議らからの反応はなかった。

 発言機会を得た先着15人のうち、11人が像設置問題を取り上げ、日本人住民8人と米国人2人の計10人が設置反対を訴え、賛成意見は米国人1人だった。

 韓国系団体は設置の決定が覆らないことを事前に察知していたとみられ、除幕式に出席するため、韓国から訪米した元慰安婦(89)らと「前夜祭」を開催した。

 小学生の子供2人を持つ40代の日本人女性は、最初に設置されたグレンデール市の像が現地の日本人の子供たちに悪影響を与えると懸念し、「同じようなことが起きることは想像に難くない。母親として像は受け入れられない。子供を守りたい一心だ」と訴えた。

 市内に在住していなくても届け出れば意見を述べることができ、ジョージア州に30年以上住む50代の日本人女性は「像が反日運動に利用されていることは明らか。この像で地域社会が分断されることを望まない」と指摘した。

 「テキサス親父」の呼び名で知られるテキサス州在住の評論家、トニー・マラーノ氏は「像は日本バッシングそのもの」と設置に反対した。

 市議会は5月23日に韓国系団体の要請を受け、早々に像設置を決定。除幕式の前日まで設置反対派の意見を聞く機会を設けなかった対応に「不誠実」との声が強まった。

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30日、米南部ジョージア州のブルックへブン市の公園に設置された慰安婦像(上塚真由撮影)
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30日、米南部ジョージア州のブルックへブン市の公園で行われた慰安婦像の除幕式(上塚真由撮影)
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30日、米南部ジョージア州ブルックヘブン市の公園で、除幕式を前に黄色い布に覆われた慰安婦像を撮影する韓国系住民ら(上塚真由撮影)
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29日、ブルックヘブン市議会で慰安婦像設置への反対意見を述べる在アトランタ日本総領事館の大山智子領事(上塚真由撮影)