韓国雇用労働部(省に相当、以下同じ)長官候補に指名されていたチョ・デヨプ高麗大学教授が最終的に自ら長官就任を辞退した。

しかし文在寅(ムン・ジェイン)大統領はチョ氏以上に問題が多いとされていた宋永武(ソン・ヨンム)元海軍参謀総長には野党の反対を押し切り、国防部長官の任命状を手渡した。

批判の世論には耳を貸さないまさに「不通」だ。しかもこの任命には裏取引の存在も指摘されている。要するに国務委員(閣僚)など国の重要ポストの人事を行うに当たり、いかなる人物が適任かということよりも、野党との取引によって決められているのが実態ということだ。

宋氏とチョ氏の二人はいずれも大統領選挙当時は文大統領の陣営にスタッフとして加わっていたが、この二人を長官に就任させる力ずくの人事がこれほどひどくなるとは予想もできなかった。

チョ氏は飲酒運転と自らが関与する企業の勤労基準法違反が問題視されたが、宋氏は防衛関連企業との癒着が疑われており、それだけでも国防改革のリーダーとなる資格はないだろう。

また宋氏は飲酒運転の前歴があることに加え、ここ5年間に韓国軍のゴルフ場を250回以上も利用し、とりわけ延坪海戦記念日など軍の重要行事が行われた日にもゴルフ場に通っていたことが分かっている。

しかしそれでも文大統領はチョ氏は辞退させながら宋氏については任命を強行した。大統領府はこれまで人事に関して「文大統領は原則を重視する」と何度も説明してきたが、今回の任命のどこに原則があるのだろうか。

文大統領は「政府高官人事の5大原則」を掲げていたが、これは今やほぼ意味を成さなくなった。

最近新たに指名された長官候補者らもこれまでと同じく偽装転入(実際に住んではいない場所を居住地として届け出ること)や違法増改築といった問題が次々と明るみに出ているが、なぜこのような人物たちをわざわざ選んできたのか疑問を感じるほどだ。

例えば食品医薬品安全処長(次官級)に任命された柳永珍(リュ・ヨンジン)大韓薬事会副会長は朴槿恵(パク・クンヘ)前大統領を「サイコパス」、保守系野党「自由韓国党」の大統領候補でもあった洪準杓(ホン・ジュンピョ)代表には「背倫(人の道に背くこと)」などと激しく侮辱した人物だ。また朴前大統領をホストに夢中になる女性に例えて侮辱したこともあった。

これについてメディアが取材を試みると、柳氏はこれらを書き込んだ自らのフェイスブックを閉鎖してしまった。そのような行動を見ると、柳氏にはまだ知られていない問題行動がおそらく幾つもあるのだろう。

薬局を開業していたというが、実際は政治家の周りで活動ばかりしていた柳氏のような人物に食品や医薬品の安全管理、新薬の販売許可など国民の健康に直結する国家機関の責任者が務まるわけなどない。

朝鮮日報
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/07/14/2017071401059.html