「シュリ」(2000年)、「ブラザーフッド」(04年)など、南北分断国家の悲劇を描き続ける韓国のヒットメーカー、カン・ジェギュ監督(54)。22日公開の最新作「あの人に逢えるまで」も南北離散家族をテーマにしたラブストーリーだ。なぜ南北問題を取り上げるのか。

 主人公のヨニ(ムン・チェウォン)は愛する夫、ミヌ(コ・ス)の好きな食事を日々用意して帰宅を待っている。ある日、ヨニは夫が戻らない理由が分からないまま、役所の人の勧めで会いに行くことになる…。

 「私自身は離散家族ではありませんが、意識が高まったのは、1本目の長編『銀杏のベッド』の製作のため、北京にいた時、北朝鮮からの留学生たちと出会い、つらい現実を知ったことに端を発します。表現するべき題材だと痛感しました。離散家族は今は2万人しか残っていないと言われますが、そのつらさを残していかないといけないと思います」

 今年5月に就任したばかりの文在寅(ムン・ジェイン)大統領には「『窮鼠猫を噛む』ということわざの通り、北朝鮮を追い詰めると誰に噛みつくかわからない。前の2政権の対決姿勢の結果、副作用として、北朝鮮が強く出るようになったのではと思います。文大統領は対話姿勢。ただ過去の対話でも、はっきりした指針が示されてこなかった。きちんとした討論が必要です」と注文をつける。

 「シュリ」のクライマックスはサッカーの南北交流試合が舞台だった。文政権は2018年の平昌冬季五輪の南北共催に意欲を示しているが…。

 「一映画人の立場から言わせていただくと、同質感を得られる一番の共通言語はスポーツと文化だと思う。ですから、文政権の姿勢は南北統一への近道としてはいいのではと考えます」とひとつの見方を示す。

 南北問題の解決の道は見つかるのか。(斉藤蓮)

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南北問題を語ったカン・ジェギュ監督
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「あの人に逢えるまで」