米中両政府が7月中旬、トランプ米政権発足後、初めて開催した閣僚級の包括経済対話は米側が「貿易赤字削減という共通目標を中国も認識した」などとする声明を発表。

 さも成果があったような形で終了したが、実はトランプ大統領が中国側代表団とも会見せず、記者会見も直前になって急きょ中止に追い込まれていたことが明らかになった。

 会議はワシントンで行われ、トランプ氏もホワイトハウスで執務していたにもかかわらず、中国側代表団と会わないのは極めて異例。

 これまでの会議では必ず米大統領が接見しており、「今回の対話は完全に失敗で、米側が中国製鉄鋼の輸入制限を主張するなど、米中による全面的な経済戦争に発展する可能性が出てきた」(ロイター通信)との予測も伝えられている。

 米中関係については、トランプ氏は大統領選期間中、厳しい中国批判を連発していた。

 だが、大統領就任後の4月、トランプ氏が習近平国家主席をフロリダ州の別荘に招いて、初の首脳会談を行った際、「習氏は非常に信頼できる」などと持ち上げ、北朝鮮問題と経済対話で原則合意していたことから、米中蜜月(ハネムーン)ムードが漂っていた。

 さらに、5月には貿易不均衡是正問題で、10分野で合意したほか、中国側が米国産牛肉の輸入を14年ぶりに再開するなど、一気に米中両国間の外交や経済貿易問題の解決への期待が高まった。

 だが、トランプ氏が中国による北朝鮮への圧力が「不十分」などと不満を表明してから雲行きが怪しくなり、今回の経済対話でも成果の文書の発表を見送るなど「実質的な物別れ」と伝えられた。

 さらに、米国を拠点にする中国問題専門の華字ニュースサイト「博聞新聞網」は北京発の「独自ネタ」として、トランプ氏が中国代表団団長の汪洋副首相らとも接見しなかったとして、会議自体が「完全な失敗」と報じている。

 これについて、ロイター通信は「まさに『蜜月関係』は終わりつつあると言ったところだろうか」と伝えると同時に、「両国関係は一気に冷え込む可能性が高いだろう」と分析。

 そのうえで、中国で過剰生産される鉄鋼製品に対し、より厳しい制裁関税や輸入割り当てを適用したり、中国を為替操作国に認定したりするなど「対中強硬策に出ることも予想しておく必要があるだろう」として、米中経済戦争に発展する可能性も指摘している。

https://www.news-postseven.com/archives/20170730_600243.html
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