中国国家旅遊局直属の中国旅遊研究院などが1日、上半期のアウトバウンド市場に関するレポートを発表した。中国新聞網が2日付で伝えた。

▼海外旅行者数6203万人に、目的地は153カ国・地域に拡大

同レポートは中国旅遊研究院と大手旅行予約サイト・携程旅行網が共同発表したもので、今年上半期の中国の海外旅行者数は前年同期より5%多い6203万人に達した。現在有効とされるパスポートは1億2000万件超で、これは10人に1人がパスポートを持つ計算となる。

旅行目的地は153カ国・地域に拡大しており、オンライン予約状況で見た中国人観光客に人気の旅行先は1位から順にタイ、日本、シンガポール、韓国、マレーシア、米国、インドネシア、ベトナム、フィリピン、オーストラリア、カンボジア、モルディブ、イタリア、ドイツ、アラブ首長国連邦、エジプト、英国、スリランカ、ロシア、フランスという結果になった。

うち、1位のタイは携程1社だけで単月最高5万人以上を記録している。タイ当局の統計によると、今年1-5月に同国を訪れた中国人観光客は380万人を突破しており、通年では900万人を超える見込みだ。

一方、最も苦しい状況に直面したのが韓国で、ランキング順位は昨年の2位から4位に後退。上半期の訪韓中国人客は前年同期比40.97%減の225万3000人に落ち込んだ。韓国を抜いて今回2位となった日本の上半期の中国人客受け入れ数は同6.7%増の328万人強。

フィリピン、マレーシア、ベトナムなど東南アジア諸国でも増加が目立ったほか、昨年急落した欧州旅行人気が回復していることも明らかになった。

また、旅行者はより便利で安全、友好的な目的地を選ぶ傾向が強くなっている。観光の都市別人気ランキングではバンコク(タイ)が1位、以下シンガポール、香港、東京、台北、ソウル、大阪、クアラルンプール、ワシントン、マカオと続いた。

▼平均支出最多は蘇州市民、オーダーメード旅行が急成長

携程のデータで旅行者1人当たりの平均支出を居住地別に見たところ、旅に最も多くのお金をかけていたのは蘇州市民(7123元。約11万6000円)だった。

2、3位は北京(6778元。約11万800円)、上海(6760元。約11万500円)で、4位以下は貴陽、瀋陽、西安、長春、大連、青島、温州、済南、鄭州、昆明、無錫、寧波、合肥、福州、ハルビン、南京、杭州の順。上位20位に入った「二線」以下の都市は市場成長スピードが速く、消費能力も高いため、アウトバウンド市場における「新たな一線都市」と呼ぶことができる。

また、旅行の種類別費用は団体旅行が1人平均6000元(約9万9000円)余り、個人旅行が5000元(約8万2000円)余りといずれも前年同期より増えていることが判明。オンライン予約では個人旅行の比率(58%)が団体旅行(42%)を超えていることや、オーダーメード旅行需要が急拡大していることも明らかになった。

このような状況に対し、中国旅遊研究院の責任者は「アウトバウンド市場を支える中間層の消費行動には変化が生じている」と述べた上で、以前の爆買いに見られたスピード感が薄れてきたと説明、旅行先の生活スタイルをより深く味わいたいと考えている人が増えている状況を指摘する。

携程の関係者も「海外に行く目的がこれまでの『観光』から『海外の質の高い生活環境とサービスの享受』にシフトしている」とコメント、「少なくとも年1回、海外旅行することが中国の中間層の新たな基準」と説明した。(提供/Bridge・編集/Asada)

http://www.recordchina.co.jp/b186516-s1-c20.html

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写真はスカイツリー。