緊迫する北朝鮮問題をめぐり、米中韓は虚々実々の対応を繰り返していますが、その裏側の実態とアジア情勢の行方を論じたのが本書です。

 相次ぐ北朝鮮のミサイル発射に対して、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は非難はするものの、常に対話路線を強調。一方で、米国に対しては戦時作戦統帥権の早期返還を主張、朝鮮半島における米軍のプレゼンスを減じようとしてきました。

 本書では、その背景に文在寅の「北朝鮮による朝鮮半島統一」志向があると喝破。実際に、北朝鮮の韓国侵攻に備えて韓国のインフラ施設への破壊工作を計画し、逮捕された男を文在寅が2度にわたり恩赦していた過去を暴露しています。

 さらには“従北派”の閣僚を明らかにし、文政権が今後、「赤化統一」実現に向けてどのような行動を取るか解説。韓国での軍事クーデターも示唆しています。

 一方、中国の習近平国家主席は、4月の米中首脳会談でトランプ米大統領から北朝鮮問題の解決を迫られ、100日間の猶予を請願しながら、何もできず北朝鮮のICBM開発を容認してしまいました。

 激怒したトランプは、北朝鮮とつながりのある中国の金融機関や企業への制裁強化を開始していますが、これにより中国の不動産バブルは崩壊、秋の共産党大会での人事で大波乱が起こる可能性を論じています。

 中韓のエキスパート2人が独自情報を駆使して分析。混迷する東アジア情勢の行方を読むうえで貴重な一冊です。(徳間書店学芸編集部・明石直彦)

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(徳間書店・1000円+税)