【北戴河(中国河北省)時事】中国の習近平国家主席(64)=共産党総書記=ら最高指導部メンバーは5日までに河北省の避暑地、北戴河に集まり、重要な非公式会議を開いているもようだ。5年に1度開かれる党大会を秋に控え、2期目の習指導部の人事をめぐる調整が最大のテーマとなる。

北戴河会議に関する発表は一切行われていない。地元住民によると、党や政府の宿泊施設が集まる地域周辺は7月以降、厳重な警備が行われている。

今年は通行者のチェックなどが例年よりも厳しく、特に今月2日から警戒態勢が強化されたといい、習主席や李克強首相(62)のほか、引退した長老らが現地入りし、党大会に向けた意見交換を行っているとみられる。

第19回党大会の焦点は最高指導部を構成する政治局常務委員の人事。「68歳定年」の慣例に従えば、7人の常務委員のうち、習、李の両氏を除く5人が交代する。

前回の党大会で、49歳の若さで政治局員に就き、広東省党委員会の胡春華書記(54)と共に習主席や李首相の後継候補と目されていた孫政才前重慶市党委書記(53)が7月に失脚。「党大会は習氏のペースで進んでいる」(党関係者)との見方が強まっている。

このため、胡錦濤前国家主席が推す胡春華書記の常務委員昇進が実現するかは微妙との説もある。

最近の重要ポスト人事では、北京市や重慶市のトップを務める党委書記に、習主席の側近とされる蔡奇(61)、陳敏爾(56)の両氏がそれぞれ起用された。両氏は政治局入りが確実。

習主席はさらに、党中央政策研究室の王滬寧主任(61)ら自らに近い幹部を登用し、「習派」が常務委の過半数を占めることを目指しているようだ。

中でも関心が集まるのは、反腐敗闘争を指揮し、習氏の一強体制づくりに貢献してきた王岐山党中央規律検査委書記(69)の去就だ。「習氏は王書記の続投を望んでいる」(党関係者)との見方は根強く、党大会で王書記が定年の対象外になるという観測が出ている。

ただ、今年に入り、米国在住の富豪、郭文貴氏がインターネットを通じて、王書記周辺の「不正」について発信を続けている。

また、常務委入りが有力視される栗戦書党中央弁公庁主任(66)に関しても、香港紙が最近、親族の不正蓄財疑惑を報じた。習主席に反発する勢力が巻き返しを図っているとみられ、北戴河での議論に影響する可能性もある。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2017080500381&;g=int