韓国語に自信あり

 民団中央本部主催の合同企業説明会(「民団就職フェア」)が1日、東京・港区の韓国中央会館で開かれ、関東圏はもとより東北、中北、近畿、中国、九州から昨年を上回る224人が参加した。

 就活学生のなかには日本人も多数を占め、留学や専門学校で学んだ韓国語を活かせる職場を求めていた。会場には18社がブースを構えた。

8月は福岡でも

 会場には韓国大手企業の日本現地法人、在日同胞系の金融、流通、教育、旅行、人材サービスなど多彩な優良企業がそろった。なかには「映像処理技術世界一の専門企業」という小さな世界ブランドの名前も見られた。

 開場と同時に行列ができたのは航空サービスのアシアナスタッフサービス(東京都台東区上野)と韓国商品流通企業の「韓国広場」(東京都新宿区大久保)だった。

 アシアナスタッフサービスは航空会社の制服を着た女性スタッフの姿が目を引いた。説明会は各回ごとに次々と席が埋まり、後ろに順番待ちができていた。マネージャーの戸塚裕子さんは「どんな会社なのか、名前だけですぐに分かりやすいからでは」と人気の秘密を推察していた。

 「韓国広場」もわかりやすさだけは群を抜いている。スローガンは「日韓の友情に貢献する」。

 2012年、当時の李明博大統領が独島(竹島)に上陸したときは経営に大打撃を受けただけに「憎しみの連鎖を断ち切りたい」と経営企画室次長の黄柾明さん。「世代交代にさしかかっていることから永く勤めてもらえる人、積極的な人材を随時募集している」と話す。

 先崎友利恵さんは「韓国広場」新大久保店を買い物でよく利用している。個人的にも韓国語の勉強をしており、「それが活かせそう」と関心を示していた。

 専門学校で韓国語を学ぶ高薄鈴花さんも「韓国広場」と旅行会社トラベックツアーズ(東京都新宿区)を志望先に挙げていた。

 韓国の留学先から夏休み休暇のため一時帰国中の吉田美香さんは、現代海上火災保険日本支社(東京都千代田区)が気になったと語った。質問したら懇切丁寧に応えてくれたと喜んでいた。

 8月28日には民団福岡本部(李相鎬団長)が「就職フェア」を主催する。11〜16時、会場は福岡市博多区吉塚本町の福岡県中小企業センター。

■□

「自らの努力で運を呼び込め」 洪政國さん特別講演

 洪政國さん(在日韓国科学技術者協会顧問)は就職フェア「特別講演」に立ち、国籍による就職差別があたり前だった時代を科学者として生き抜いてきた自らの半生について語った。

 洪さんは博士号取得後も就職先に恵まれず、一時期は海外移住を考えたというほど思い詰めた。そんなとき、日本IBMから招かれ、数々の業績で部長職にまで上りつめた。定年退職後は東京大学に特任教授として招かれた。

 洪さんは(在日韓国人としての)自らの経験から「軸足を意識して、決してぶれてはならない」と呼びかけた。「自分を成長させるためには相手が必要。積極的に提案して、自分も一緒に伸びよう。自分に嘘をつかない。それでこそ相手から信頼を得られる。途中で放棄しないこと。最後まで頑張ろう」と激励した。

 洪さんの恵まれた人生は「ただの運」にすぎないともよく言われる。これに洪さんは次のように反論した。「運を呼び寄せられるかどうかは自分次第。努力すれば運は向こうからやってくる」。

 洪さんに先だって女性向けに実施した「就職メイク術」と題したガイダンスも好評だった。

http://www.mindan.org/front/newsDetail.php?category=0&;newsid=23470